愛犬の老化を感じて、老犬ホームを利用しようか迷っていませんか?
「長期間預けるから、料金が高くなりそうで心配」
「そもそもどの老犬ホームを選べばよいのか分からない」
などといった理由から、老犬ホームの利用をためらっている飼い主さんも多いことでしょう。大事な家族を預けるのだから、慎重になるのは当然のこと。
ただ、老犬ホームに関する知識を身につけることで、老犬ホームの利用に前向きになれたり、預けてよかったと思える老犬ホームに出会えたりするのではないでしょうか?
この記事では、老犬ホームの利用にかかる料金を詳しく説明した上で、料金が安すぎる場合の注意点と老犬ホーム選びに失敗しないためのポイントを解説します。
これらを参考に、信頼できる老犬ホームに愛犬を預けてみましょう。
老犬ホームの料金はどれくらい?
「老犬ケア」が、2016年に発表した全国66の老犬ホームを調査した結果によると、全国の老犬ホーム年間利用料金の平均は566,407円でした。ただし、これは小型犬の場合の金額であって中型犬や大型犬になるとさらに料金が加算されるし、プランや治療費によっても変わってきます。なので、この金額はあくまでも目安として考えてください。
より正確な金額を知り、後でトラブルにならないためにも、老犬ホームスタッフに必要な料金を詳しく聞くようにしましょう。とはいえ、何も知らない状態で聞いたところで、きちんと理解できないかもしれません。そこで、次の章では老犬ホーム利用の際にかかる料金の基本的な知識を解説していきます。
参照:老犬ケア、老犬ホーム利用料金調査(2016年5月)
https://www.rouken-care.jp/research/charge201605/
プラン
プランは老犬ホームを利用する期間によって分けられていて、1カ月から1年、さらには生涯預かりプランまである施設もあります。終生預かりのプランで知っておくべきことは、愛犬の名義を飼い主さんから老犬ホームに委任する必要があるということ。支払う料金も変わってくるため、よく考えた上でプランを決めるようにしましょう。
老犬ホームはペットホテルとしても利用できることが多く、1カ月よりも短い利用はペットホテルのプランとなることが多いようです。さらに、一時預かりのプランもあって、人で言う「デイサービス」のように利用することもできます。
プランごとにかかる利用料金は、主に以下の費用にあてられます。
・フード
・トイレシート
・おむつ
・冷暖房費を含む光熱費
・毎月のシャンプーやトリミング
・獣医師による健康診断
・ワクチン接種
・ノミやダニ予防
・フィラリア予防
入所金(入会金)
入所金とは、利用料金とは別に入所時にかかる費用で、基本的には返金されないものです。これは、主に次の費用に充てられます。
・入所前の準備(入所犬の部屋づくりなど)
・入所時の健康診断
・入所後初期の細かなケア
保証金
保証金とは、利用料金とは別に入所時にかかる費用で、契約を終了するときや利用していた愛犬が亡くなったときなどには、一般的に返金されるものです。
これは、主に次の費用に充てられます。
・初期診察
・初期治療費
・火葬
・葬儀費
医療費、介護費
医療費は、通院や治療を行った場合に請求される費用です。
介護費は介護が必要な犬に対して加算される費用で、主に以下のような場合に必要になります。
・自力で食べられず、食事の補助が必要
・投薬や点眼を行う
・自力で排せつできず、排せつの補助が必要
・寝たきりのため、体位変換が必要
利用料金が安すぎる場合は注意
長期間の利用になる老犬ホームは、短期間のペットホテル利用に比べるとどうしても料金が高くなってしまいます。そんな時、相場より安いところを見つけたら、そこに預けたいと思う飼い主さんもいるでしょう。
必ずしも料金が安いからといって、高いところよりお世話の質が悪いということはありません。しかし、料金を安くさせる理由として人件費の削減や低品質のフード、ケージに入れっぱなしなどのお世話をしないといったことが考えられるのです。
そこで、“料金が安い”というのはどれくらいのことを指すのか分からないという飼い主さんのために、1つの判断基準を紹介します。それは、年間35万円よりも安いかどうかです。
ペット保険のアニコム損保が、2,237のアンケート結果をもとに、2021年の1年間でペットにかけた支出を調査したところ、犬にかける費用は年間約35万円であることが分かりました。
つまり、一般家庭でも35万円かかっているのに、老犬ホームの料金がそれより低くなるのは不自然だということです。もし、1年プランがこの金額より安い場合は、理由を詳しく聞くようにしましょう。
参照:【2021最新版】ペットにかける年間支出調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000068.000028421.html
老犬ホームに預ける前に確認したい11のチェックポイント
上記では、老犬ホームの利用料金とその安さだけで預け先を選ぶのは危険ということについて紹介してきました。
「それじゃあ、料金以外にどんなことに注意して愛犬を預ける老犬ホームを選べばよいの?」
という飼い主さんに向けて、この章では老犬ホーム選びに失敗しないための11のチェックポイントについて解説します。
チェック1:愛犬が老犬ホームを利用できるか?
老犬ホームという名の通り、多くの施設では10歳以上といった年齢制限を設けており、生涯預かりになるとさらに年齢を引き上げるところが多いです。
年齢以外にも以下のような場合は、老犬ホームの利用を断られる場合があります。
・人や犬への噛み癖、吠え癖
・脱走癖
・ワクチン接種の証明ができない
・感染症や認知症を患っている
・通院治療中
・発情中、妊娠中
・糖尿病
・大型犬
ただし上記の項目に当てはまっていても、特に大型犬なんかは受け入れてくれるところもたくさんあるので、あきらめずに探してみてください。
チェック2:動物取扱業の登録を受けているか?
第一種動物取扱業の老犬ホームを運営するには、都道府県知事または政令指定都市の長の登録を受けていなければなりません。分かりやすく表示しておく義務もあるので、利用を考えている老犬ホームの施設で動物取扱業登録証があるかを確認しましょう。ホームページで登録番号と一緒に「保管」や「譲受飼養業」と提示されている場合もあります。
参照:動物愛護管理法、第一種動物取扱業者の規制
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/trader.html
チェック3:老犬ホーム協会に加盟しているか?
老犬ホーム協会は、老犬ホームについて一貫したルールが定まっておらず、劣悪な環境で不適切な管理をおこなう施設がある現状に危機感を感じて設立されました。加盟施設は8施設(2022年8月時点)と少ないですが、加盟している老犬ホームは老犬の適切な管理に自信を持っているともいえるでしょう。
チェック4:24時間スタッフが常駐しているか?
体調が急変しやすい老犬、特に持病がある老犬にとっては、24時間の見守りは必須。
夜間の災害やトラブルにも素早く対応できるので、24時間施設内にスタッフがいる老犬ホームを選ぶことを強くおすすめします。
チェック5:家からの距離は?
老犬ホームに愛犬を預けたからといって、一生の別れになるわけではありません。多くの施設では、面会をすすめています。愛犬のためなら遠くでも面会をしに行くという飼い主さんもいるかとは思いますが、やはり自宅から距離が近い方が負担が少なく便利ですよね。
ところで、
「老犬ホームに面会に行って別れる際、また愛犬に悲しい思いをさせるのではないか」
と思っている飼い主さんもいるかもしれません。
しかし老犬ホームが快適な場所であればあるほど、施設スタッフが好きであればあるほど、心配の必要はなくなるでしょう。だから、老犬ホーム選びは重要なのです。
チェック6:いつでも面会できるか?
上記の通り、ほとんどの老犬ホームでは預けた愛犬と面会できます。面会用のお部屋が用意されているところでは、他の犬を気にすることなく愛犬と過ごすことができるでしょう。
ここで確認しておきたいのが、いつ面会できるかということ。仕事などで面会できる時間が変えられない場合は、夕方以降や休日、年末年始といった飼い主さん自身が会いに行けるときに面会可能な老犬ホームを選ぶということも大切です。
また、面会をする場合は事前に予約してから会いに行くようにしましょう。面会が難しい場合には、自宅まで送迎してくれるところもあるので、ぜひ確認してみて下さい。
チェック7:生活環境が適切に整備されているか?
清潔であることはもちろんですが、老犬の快適な生活に配慮した環境であるかチェックすることも大切です。例えば、以下のことを確認しましょう。
・体温調節が苦手な老犬のための空調管理
・ストレスを発散できるドッグラン
・健康でいるための感染症対策
・快適に過ごすための消臭対策やトリミングルームの有無
・安全に過ごすための滑りにくい床や壁のカバー
感染症対策や掃除のしやすさといった点から、水洗いできるような素材を採用している施設もあります。ですが、それだとどこか無機質な印象を持ってしまう飼い主さんもいることでしょう。
そんな時は、住居型の老犬ホームを検討してみるのも良いかもしれません。住居型ではより自宅に近い環境でアットホームな雰囲気を感じることができるのではないでしょうか?
チェック8:病気や死亡時の対応は?
体調を崩しやすく病気になりやすい老犬は、病院を利用することが多くなります。そのため、動物病院と提携しているかも確認したいところ。夜間も対応してくれるかどうかもチェックしましょう。
また愛犬が亡くなった場合、多くの老犬ホームが返金制度を設けています。例えば、次のようなものです。
・お預かりしてから1年以内に亡くなった場合は月単位での計算で残金を返金
・お預かりしてから1週間や1カ月など早期に亡くなった場合は、預かり料金を1日単位で計算し、残額を返金
・お預かりしてから1カ月以内で亡くなった場合は、預かり料金の80%を返金
使われなかった保証金は返金されることが多いですが、既に支払われた費用は返金できないとするところもあるので、事前に確認しておきましょう。
また、葬儀を行ってくれるのか、どこまでこちらの要望を聞いてくれるのかなども確認しておくと安心です。
チェック9:老犬ホームでの様子を確認できるかどうか?
定期的に愛犬の様子を報告してくれる老犬ホームは多く、写真や動画付きのメールやLINEで報告してくれるところが多いようです。メールやLINEが使えないという場合でも、電話や報告書などで確認できるように配慮してくれる場合もあるので、遠慮なく相談してみましょう。
また、ブログやInstagram、YouTubeで様子を配信しているところもあります。
チェック10:運動やリハビリをしてもらえるか?
筋肉が衰えがちな老犬にとって、寝たきりにならないためには運動が大切です。そんな老犬にとって、広いドッグランはとても魅力的ですよね?
広いドッグランは比較的郊外の老犬ホームに多く、都市部では屋内のフリースペースだけという場合もあります。自宅からの距離との兼ね合いもありますが、自然を感じられるドッグランがあるところをおすすめします。
また、いつまでも自力で歩いてもらうためには、リハビリやマッサージなどのケアも必要です。リハビリトレーナーや獣医師が専門的なリハビリやトレーニングを行う老犬ホームもあるのでチェックしてみてください。
チェック11:スタッフは信頼できる人か?
現時点では、老犬ホームのスタッフになるための国家資格はありません。つまり、犬に関する知識が無くても、どんな人でも老犬ホームのスタッフになることができるのです。とはいえ、そんな素人同然の人に大事な家族である愛犬を任せられないですよね?
そこで重視したいのが、犬への接し方はもちろん、スタッフの持つ資格と経験です。動物介護士や愛犬飼育管理士などの資格に関してはホームページで掲載している場合もありますが、スタッフ一人ひとりの老犬介護の経験がどれくらいなのかを掲載しているところはほとんどありません。なので、直接スタッフに聞いてみましょう。その時感じた印象も、老犬ホームを選ぶ一つのポイントになります。
まとめ:老犬ホームの料金はプランや治療費によって異なるけれど、安すぎは注意!
この記事を読んで、老犬ホームの料金相場の目安や、利用料金はプランや治療費などで変わってくるということが分かったかと思います。さらに、利用料金が安すぎる場合は注意が必要だということも理解できたでしょう。
愛犬が快適に過ごすことができ、飼い主さんも安心して任せられるような信頼できる老犬ホームを選ぶためにも、この記事で紹介した11のチェックポイントを活用してみてください。
老犬ナビでは全国各地の老犬ホームをご紹介しております。お近くの老犬ホームを探す際に、ご活用ください。
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