犬の後ろ足に力が入らない原因は?その予防や対処方法は?

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いぬどし
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「最近、愛犬が後ろ足を引きずるようになった」

「老犬の歩き方に違和感を感じはじめた」

「歩くのが大好きだった愛犬が、急に散歩に行きたがらなくなった」

元気に走り回っていた愛犬が、急に散歩を嫌がったり動かなくなると不安になってしまいますよね。この記事では、後ろ足に力が入らなくなってしまう原因と、その予防法、また対処法まで紹介していきます。

 

 犬の後ろ足に異常が現れる原因とは?

後ろ足に力が入らず、歩きにくくなっている時の原因は、以下の場合が挙げられます。

・ケガ
・遺伝性疾患
・神経系の異常
・加齢
・温度
・肥満
・床剤

一つずつ詳しくみていきましょう。

 

原因①:ケガ

愛犬が散歩やドッグランをしている時、また室内で遊んでいるときに転んだりぶつけたり、何かを踏んだりしてケガをしてしまうと、痛めた場所をかばって、歩き方や姿勢に異常が見られることがあります。

 

原因②:遺伝性疾患

遺伝性疾患の中には、後ろ足に異常が現れる病気もあります。このような病気は特に成長期に症状が見られることが多いです。

 

原因③:神経系の異常

後ろ足の動きは神経による調節が重要となります。そのため、神経系に異常が起こる病気にかかると、よろけてしまったり力が入らなくなったり、うまく動けなくなることがあります。

 

原因④:加齢

犬が歳をとって筋肉が落ちてくると、しっかり踏ん張ることが難しくなります。そのため、立っているときや歩いているときに震えたり、ふらつきが見られたりします。

 

原因⑤:温度

老犬も人間と同じように寒さによって血行不良になってしまい、関節が冷えると痛みがでることがあります。寒さによって血管が収縮し、酸素や栄養素の循環がうまくいかなくなってしまうと、体に老廃物が溜まりやすくなり、周辺の筋肉まで硬くなってしまうのです。

そのため、急に寒くなったり真冬に外に長時間いたりすると、関節が痛み足がふらつく原因になってしまいます。また、寒くなると犬は習性から同じ格好で動かずに寝ることが多いので、急に立ち上がろうとした時にふらついてしまうこともあります。

 

原因⑥:肥満

犬も老化すると代謝が悪くなり、若い時と同じように食べ続けていると太ってしまう犬もいます。特に骨が細い小型犬は肥満になってしまうと、骨を支えることが出来なくなってしまいます。骨を支えることができなくなると関節炎の症状が出たり、足に力が入らなくなり、ふらついてしまうことも。

そのままの生活を続けていると靭帯断裂などの危険性もあります。肥満は関節だけでなく、心臓病や血栓症などの病気の引き金にもなる可能性があるので、注意して見てあげましょう。

 

原因⑦:床剤

室内で飼育している老犬は、床の素材が原因で足に力が入らないこともあります。人間も普段の床と違った滑りやすい床の場合、立ち上がりづらいことがあります。犬の足元がフローリングなどで滑りやすくなっていたり、犬の肉球の間にたくさんの毛が生えていたり、爪が邪魔なくらい伸びている場合も足に力が入らなくなってしまい、ふらついてしまうことがあります。

 

犬の後ろ足に力が入らない原因として考えられる病気とは?

怪我の場合は、放っておけば完治することもありますが、病気の場合は取り返しのつかないことになる可能性もあります。すこしでも思い当たる部分があれば、早急に動物病院へ受診にいきましょう。

考えられる病気①:脊椎・脊髄疾患

犬の後ろ足の感覚を調節している神経に異常が起こると、力が入らなくなったり、よろけてしまったりという症状が見られます。

 

脊椎の奇形、環椎・軸椎不安定症(亜脱臼)といった病気も比較的多く遭遇する病気です。大型犬であれば、ウォブラー症候群や馬尾症候群といった病気が見られることも多いです。高齢の老犬であれば、この部位に腫瘍ができ、突然症状が現れることもよく起こります。いずれも正常な神経の働きを妨げるため、後ろ足がふらついたりよろけたりといった症状が見られます。

 

考えられる病気②:椎間板ヘルニア

脊髄が圧迫される椎間板ヘルニアは、ダックスフンドやコーギーなどの特定の犬種がかかるもの、というイメージがあるかもしません。しかし、どの犬種でもシニアになると発症する可能性があるので注意が必要です。発症すると痛みが出たり、麻痺が現れることもあります。麻痺してしまうと足を引きずったり、ふらつきが見られるなど、歩行に違和感が出てくるようになります。発症した場所によっては、後ろ足だけでなく前足も動かなくなることがあります。

 

考えられる病気②:関節疾患

骨と骨の継ぎ目である関節部分に痛みが出る関節疾患は、シニア犬でよく見られます。関節が痛むことから散歩を極度に嫌がったり、寝ている時間が長くなったり、食欲が低下してしまうこともあります。投薬や注射で痛みを抑え、愛犬のQOL(生活の質)を維持することができるので、違和感に気付いたら早めに動物病院を受診しましょう。

 

考えられる病気③:前庭疾患

前庭疾患も比較的シニア犬でよく見られる病気です。平衡感覚を司っている器官に異常が現れ、体を正しいバランスで保つことが難しくなります。突然発症することも多く、急に立てなくなる、首を傾げたようにする(斜頸)、眼球が小刻みに揺れる(眼振)などの症状が現れます。ひどい車酔いを起こしているような状態になるので、嘔吐をしたり、大量によだれを垂らしたりすることもあります。

 

考えられる病気④:脳疾患

犬の脳に奇形のような先天的な異常があったり、腫瘍・炎症などの後天的な異常が起こったりすると、後ろ足に力が入らない、ふらつく、よろけるといった症状が見られることがあります。その症状は、脳のどの部位にどの程度の異常が出るかによって変わります。

 

特に、シニア犬になると免疫力が低下し、腫瘍ができやすくなります。脳に腫瘍ができる脳腫瘍は、シニア犬に比較的よく見られます。初期症状が現れないことが多いですが、病状が進行すると様々な神経症状が現れます。激しい痙攣発作を起こしたり、うまく立てなくなったり、グルグル旋回するように歩き続けたり、首がガクッと傾く「斜頸」が見られることもあります。

 

考えられる病気⑤:後ろ足の整形外科疾患

骨折や脱臼など、犬の後ろ足に整形外科的な異常があると歩き方がおかしくなります。多くの場合、痛みによってそこをかばい、跛行(はこう:正常な歩行ができない状態)や挙上(足を挙げっぱなしになる)といった症状が見られす。中にはふらつきやよろけるといった症状が出ることもあります。

 

愛犬の後ろ足にこんな症状が見られたらすぐ病院へ

愛犬の様子を見て、今現在どのような状況なのかを判断し、冷静に対処することが必要です。特に、受診を強く勧める症状に当てはまったワンちゃんは、手遅れになる前に受診させてあげましょう。

■心配がいらない場合

・打撲による一時的な痛み

 

後ろ足に異常が見られても、放っておけば自然に治る可能性はあります。例えば、何かに足をぶつけて一時的に痛みが出た場合、最初はその足に力が入らなくて、ふらついたりしますが、時間が経つと、けろっとして普通になることがあります。

 

症状が続かずに再発もしなければ、特に病院を受診する必要はないでしょう。

 

・加齢による筋力低下

 

加齢に伴う筋力の低下の場合も緊急性はありません。無理しない程度に愛犬の散歩をして、筋力維持やマッサージなどをしてあげるのも有効です。

 

■受診を強く勧める症状

犬の後ろ足に力が入らない、よろけるという症状は、多くの場合、神経に異常が起こっているためであり、自然に治ることはほとんどありません。そのため、その症状だけでも受診を強く勧めますが、特に以下の症状が見られた場合は、かなり重症で緊急性が高くなります。

 

・意識がなくなる

・痛みが強く、動くたびに鳴く

・前足も動きがおかしい

 

命にかかわる可能性もあります。少なくとも、愛犬にはかなり強いストレスがかかっていることに間違いありません。

 

思うように動けなくなるということは、犬にとって大きくQOL(生活の質)を低下させていることになります。痛みがある場合、普段はおとなしい子でもイライラして飼い主さんに噛み付いてしまうこともあるでしょう。また、ストレスは全身の免疫力も低下させてしまうため、ほかの病気を併発することもあります。

 

■早急な処置が必要な場合

意識が朦朧としたり、嘔吐したり、立ち上がれなくなって地面でもがいているなど、明らかに様子がおかしいときはすぐにかかりつけの動物病院に連絡しましょう。無理に抱き上げたり揺すったりすることで症状が悪化してしまうこともあるので、まずは落ち着いて、獣医師の指示に従うことが重要です。夜間や休診日などでかかりつけの動物病院が開いていない場合には、救急病院に連絡するとよいでしょう。

■後ろ足が震えている場合

後ろ足がブルブル震えて立てないときは、筋力の低下が原因なこともあれば、痛みがあって震えている場合もあります。触ろうとすると嫌がったり、鳴き声を上げるときは、痛がっているサインです。他にも、元気がなかったり、体を丸めて震えているときは痛みが出ている可能性が高いです。愛犬の痛みを和らげてあげるためにも、できるだけ早めに動物病院を受診しましょう。

■痛がらない場合・すぐ治る場合

犬自身がケロッとしていても、突然歩けなくなったときは動物病院に連れていきましょう。脳腫瘍などによる神経症状の可能性もあるので、「痛みがないならきっと年齢的な問題だろう」と自己判断せず、一度かかりつけの獣医師に診てもらうほうが安心です。

 

また、歩行や後ろ足に違和感はあるけれど、しばらくするとすぐに治るというケースも油断は禁物です。例えば椎間板ヘルニアでは、1日のうちに様子のいい時と悪い時があり、お家では痛そうにしていたのに動物病院では元気そうに見えることもよくあります。立てない、ふらつくなど違和感があるときは、その動画を納めておくといいでしょう。診断する際の助けになります。

 

■後ろ足に異常が出やすい犬種とは?

椎間板ヘルニア

ミニチュア・ダックスフンド、ペキニーズ、トイ・プードル、コッカー・スパニエル、ウェルシュ・コーギー、シーズーといった軟骨異栄養犬種での発症が多いことが知られています。

 

半側椎骨

脊椎の奇形のうち半側椎骨という奇形は、ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、パグ、ボストン・テリアといった巻き尾の犬種でよく見られます。

 

環椎・軸椎不安定症(亜脱臼)

チワワ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、シーズー、ミニチュア・ダックスフンド、トイ・プードルが好発犬種です。

 

ウォブラー症候群

グレード・デーンとドーベルマンが60~80%を占めるというデータがあります。

 

変性性脊髄症

近年では、ウェルシュ・コーギーで発症が多いことが注目されています。

 

後ろ足の筋力低下のサイン

年齢とともに足腰の筋力が衰えてくると、少しずつ自力で起き上がったり歩いたりすることができなくなります。そのままの状態にしておくと筋力はますます衰え、食事の体勢やトイレの体勢を維持することが難しくなり、やがて寝たきりになってしまう可能性も。シニア犬の場合、立てなくなってから短期間で寝たきりの状態になることもあるので、筋力の低下に気付いたら早めにケアしてあげることが大切です。

足腰の筋力が衰えてきたら、立てなくなってしまう前に気付いてあげたいですよね。足腰の筋力が衰えると以下のようなサインが見られます。

・太ももが細くなる。

・ふらつきや、つまずくことが増える。

・足を引きずる、前かがみで歩くなど、歩き方に違和感が感じられる。

・座るときに足を崩して横座りをする。

・横たわるときにドサッと横たわるようになる。

・起き上がるまでに時間がかかる。

・階段の上り下りが苦手になる。

・後ろ足が棒のようにまっすぐ伸びている。(健康な場合は「く」の字型。)

・段差を踏み外してしまう。

・背中が曲がっているように見える。

・腰が下がっている。(お尻の位置が下がっている。)

 

まとめ:愛犬の様子をしっかり観察して、適切な処置を施してあげましょう。不安な場合は、かかりつけの動物病院で受診しましょう。

愛犬が急に元気が無くなると心配でしょうがないですよね。今、どのような上京なのかをしっかり観察して見極め、適切な処置をしてあげましょう。歩きづらそうだと感じたら、病気の可能性も否定できないので、動物病院を受診しておくと安心でしょう。