老犬がイボだらけの原因は?よく見るピンクのイボは良性?

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今まで大病したことがない老犬の体に、突然イボができたらビックリしてしまいますよね?イボの数が増えればなおさらです。

「愛犬の体がイボだらけになったらどうしよう」

「ガンだったらどうしよう」

などと心配になる飼い主さんも多いことでしょう。

しかし、犬のイボについて正しい知識を持っていれば、過度の心配が必要ないこと、動物病院への受診が最優先であることが分かると思います。

 

この記事では、老犬にイボができやすい理由やイボの正体とその特徴を紹介した上で、病院での検査方法や治療法、家でできる予防法について解説していきます。

老犬のイボについての理解を深め、愛犬にとってベストな選択ができるようにしましょう。

 

そもそもイボができるのはなぜ?

イボとは、皮膚の一部が盛り上がってできる“できもの”のこと。できる場所・形・色・大きさなどが異なるさまざまな種類のイボがあります。そのため、イボができる原因もさまざまで、主に以下の理由があげられます。

・皮膚への刺激

・細菌やウイルス

・腫瘍

・本来体から排出されるものが、皮膚の下にとどまってしまった

 

高齢になるとイボができやすくなる理由

上記のことが原因となってできるイボは、どの年齢の犬にもできる可能性があります。ではなぜ、イボがある老犬をよく見かけるのでしょうか?

理由はズバリ、シニアになると免疫力と新陳代謝が低下するからです。

 

免疫力の低下

人間と同じように犬の皮膚には、体の害となる異物から体を守る役割があります。しかし、シニアになって免疫力が低下すると、細菌やウイルスに感染しやすくなってしまうのです。

 

イボの原因としてよく知られているのがパピローマウイルス。このパピローマウイルスは、環境中で数週間生き続けることが可能です。そのため、感染した犬との接触だけでなく、感染した犬が使った水のお皿やおもちゃからも感染することがあります。多頭飼育の場合、イボが治るまでは感染した犬との接触を控えた方がよいでしょう。

また、犬が持つ免疫システムには腫瘍細胞を排除する役割もあります。年をとるにつれて、この免疫システムの機能が低下することで、腫瘍細胞が増えやすくなり、イボができやすくなるのです。

   

新陳代謝の低下

皮膚に関する新陳代謝は“ターンオーバー”とも呼ばれ、皮膚の表面が古い細胞から新しい細胞に入れ替わることを指します。ターンオーバーの周期は個体差がありますが、3週間程度と考えられています。しかし、加齢に伴って新陳代謝が低下するとターンオーバーが遅くなり、古い細胞が肌の表面にたまることでイボができやすくなるのです。

また、古い細胞が皮膚の表面にたまることで、肌の乾燥やバリア機能の低下を引き起こすこともあります。

   

イボができやすい犬種

以下のように、もともとイボができやすいとされている犬種もいます。

・スパニエル系(キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、アメリカン・コッカー・スパニエルなど)

・レトリーバー系(ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバーなど)

・ミニチュア・シュナウザー

・パグ

・シーズー

 

上記の犬種が年をとると、さらにイボができやすくなるとも考えられます。上記の犬種の飼い主さんは、愛犬がシニアになるにつれてより注意が必要です。

 

イボの特徴と考えられる病気  

上記では、老犬にイボができやすくなる理由について解説しましたが、これと同じくらい飼い主さんが気になるのは、そのイボが老犬にとって悪いものかどうかではないでしょうか?

そこでこの章では、良性のイボと悪性のイボのそれぞれの特徴と考えられる病気について見ていきます。ただし、イボの見た目だけで良性と悪性を見極めるのは獣医師であっても難しく、例外もあるということを理解しておいてください。

 

良性のイボ

良性のイボの特徴は、次の通りです。

・白色やピンク色

・柔らかい

・痛みがない

・転移しない

 

外見でピンク色のイボが見えて、はじめてイボの存在に気付くことが多いかと思います。ピンク色であれば、現状そこまで悪いものではない可能性が高いです。(※もちろん様々なケースがあるので、一概には言えません)

 

良性のイボの多くは自然治癒することが多いですが、悪性化するケースもあります。良性のイボの特徴が見られたときに考えられるのは以下の病気です。

・乳頭腫

・脂肪腫

・皮膚組織球腫

・皮脂腺腫

   

悪性のイボ 

悪性のイボの特徴は、次の通りです。

・黒色や紫色

・硬い

・痛みがある

・転移する

・大きくなるスピードが早い

・出血している

 

悪性のイボを放置すると、命を失う場合もあります。悪性のイボの特徴が見られたときに考えられるのは以下の病気です。

・扁平上皮癌

・乳腺腫瘍

・肥満細胞腫

・悪性黒色腫(メラノーマ)

 

愛犬の体にイボを見つけたときに飼い主がとるべき対応

ここまでを読んで、イボができる原因は病気だけじゃないこと、病気であっても良性の場合もあることが理解できたと思います。だからといって、放置してしまうと命にかかわるケースもあるので甘く見てはいけません。

そこでこの章では、愛犬の体にイボを見つけたときの対応や注意してほしいことについて紹介します。

 

イボを触らない

愛犬の体にイボを見つけた飼い主さんがやりがちなのは、イボをむやみに触ること。「気のせいかもしれない」「この前より小さくなっているか確認したい」といった理由から、プニプニ触っていませんか?

しかし、イボはできるだけ触らないようにしてください。なぜなら、触ることでイボが大きくなったり、別の場所に新しくできたりする可能性があるからです。

さらに、イボを気にしていなかった愛犬がイボに違和感を持つきっかけになるかもしれません。そうすると、愛犬自信がイボを舐めたり、ひっかいたりすることでイボを刺激し、ひどい場合には出血する場合もあります。

愛犬の体にイボを見つけても、過度に触りすぎないようにしましょう。

 

イボの状態を記録する

イボを発見してからすぐに病院に行けない場合は、イボの状態を記録しておくことをおすすめします。良性の場合はそれほど変化が見られないかもしれませんが、悪性の場合は変化のスピードが速いものもあり、記録された経過によって獣医師が最適な治療をすることが可能です。

記録をするうえで、特に注意して見てほしいのは次の通りです。

・色

・形

・大きさ

・数

・硬さ

・出血の有無

・かゆみの有無

 

イボの状態が変化してもすぐに対応できるように、良性と診断されて経過観察になったときでもこれらを記録しておくとよいでしょう。

 

自己判断せず、動物病院を受診しよう

「良性のイボは自然治癒することが多いのだから、病院に行かなくてもよいのでは?」と思った飼い主さんもいるかもしれません。しかし、良性のイボの特徴が見られても悪性の場合もあるし、良性だったものが悪性化するケースもあります。

さらに、良性のイボであっても愛犬が気にして噛むことで出血したり、口の中や肉球にイボができることで生活に支障が出る場合は切除した方がよいでしょう。

すぐにでも治療が必要なイボなのか、様子見でもよいイボなのかをより正確に判断するためにも、まずは獣医師の診断を受けてください。

   

動物病院における検査

上記でも説明したように、イボの見た目だけで良性か悪性かの判断をするのは難しいため、動物病院では主に細胞診検査と病理組織検査を行います。イボや老犬の状態、それぞれの検査のメリット・デメリットなどを獣医師とよく相談したうえで、どちらの検査をするか決めましょう。

  

細胞診検査 

細胞診検査は、イボに針を刺し、採取した細胞を顕微鏡で観察する検査です。これは、針を刺すだけなので痛みが少なく、基本的には麻酔を使わずに検査ができます。

しかし、イボの一部しか採取できないことから、確定的な診断を行うことは困難です。

 

病理組織検査

病理組織検査は、イボのすべてを切除したものを顕微鏡で確認する検査です。この場合、イボが小さい場合やイボがある場所によっては局所麻酔も可能です。しかし、イボが大きい場合や局所麻酔だと切除が難しい場合には全身麻酔を行います。

この検査では、イボのすべてを切除します。そのため確定診断ができ、治療を兼ねることも可能です。

 

動物病院における治療方法

上記で紹介したイボの検査の結果に応じて、治療方針が決められます。良性のイボですぐに治療が必要ないと判断された場合には、定期的な検診を受けるだけで良い場合もありますが、すぐにでも切除した方がよい危険なイボもあるのです。

ここでは、シニア犬の飼い主さんが気になるであろう麻酔が必要な治療かどうかで分けて解説していきます。

 

麻酔が必要な治療

イボの治療において、一般的に麻酔が必要な治療は外科手術です。特にイボが悪性の腫瘍だった場合、転移や再発防止のためにイボだけでなくその周りも大きく切除するので、全身に麻酔をかける必要があります。

  

無麻酔または局所麻酔で行われる治療

一方で、麻酔を必要としない治療には次のようなものがあります。

・薬物療法

・凍結療法

・蒸散法

 

薬物療法では、必要に応じて抗生物質や抗ウイルス薬の投与を行います。

凍結療法は、液体質素など超低温のガスをイボに直接吹き付けることでイボの細胞を凍結させ、壊死させる治療法です。一方蒸散法とは、レーザーをイボに照射することでイボの組織を消滅させる治療法になります。

 

これらの治療を行っても、完全に病気が治るわけではありません。しかし、年齢や持病の関係から麻酔をかけるリスクが高い犬にとっては、体への負担が少ない有効な治療法です。

とはいえ、次のようなケースでは凍結療法や蒸散法が行えない場合もあります。

・治療中に激しく動いてしまう

・目の近くにイボがある

・イボが大きい

・悪性の腫瘍である

・外科手術ができる

  

老犬のイボを予防する方法

これまで、動物病院での検査方法や治療方法について見てきましたが、できればイボはできてほしくありませんよね?さらに、イボが良性の場合であっても、老犬の体がイボだらけになるのは防ぎたいものです。

そこでこの章では、老犬のイボができないように、増やさないようにする方法を見ていきましょう。

 

健康でいる

「これをしておけば絶対にイボができない」という予防法はありませんが、健康でいればイボが身体にできるのを予防できます。特に老犬においては、免疫力と新陳代謝をアップさせることでイボができにくくなると考えられます。

具体的な方法としては、“体によい食事”と“適度な運動” です。免疫力アップやイボを予防する効果があるとしているフードや漢方なども販売されているので調べてみてください。

また、適度な運動は筋肉がつくだけでなく、それによって体温を上げる効果もあるので、できる範囲で運動させましょう。

さらに、過度なストレスは心の健康に悪影響を及ぼすので、できるだけストレスを減らす工夫をするとよいですね。

 

体や環境を清潔に保つ

体や環境が清潔でないと、細菌やウイルスに感染しやすくなったり、ターンオーバーが正常に行われにくくなったりします。こまめなブラッシングや定期的なシャンプーなどで体を清潔に保ちましょう。また、愛犬が毎日使っているベッドや毛布なんかも忘れずに洗濯してください。

 

マッサージする

直接体に触るマッサージは、イボの早期発見に役立ちます。しかも、マッサージによって血行が良くなると新陳代謝が上がりやすくなるし、リラックス効果もあるので一石三鳥です。

ちなみに、1つ注意してほしいのは優しくマッサージすること。犬の皮膚は人よりも薄く非常にデリケートです。人に行うように強く揉むようにマッサージするのではなく、体の表面をなでるくらいの優しいマッサージを心がけましょう。

 

まとめ:老犬がイボだらけになる前にまずは動物病院へ

この記事では、老犬にイボができやすい理由やイボの正体とその特徴を紹介した上で、病院での検査方法や治療法、家でできる予防法について解説しました。

イボができる理由はさまざまですが、老犬にイボができやすくなるのは、加齢に伴って免疫力と新陳代謝が低下するからでした。そして、イボをむやみに触らないように注意して、良性・悪性に関わらず動物病院を受診することが大切です。

そうすれば、老犬に合った検査や治療を受けることができます。とはいえ、まずはイボの予防のために“食事”、“運動”、“清潔”のポイントを意識し、早期発見のために日頃からマッサージをするようにしましょう。