犬の頻尿は、飼い主が最も気にする問題の一つです。
頻繁におしっこをすることは、犬が何か問題を抱えている可能性があることを示すサインです。この問題が放置されると、犬の健康に悪影響を及ぼすことがあります。
犬の頻尿の原因は、様々なものがあります。中には重大な病気が原因となっていることもあります。そのため、獣医師の診察が必要です。ただし、多くの場合、犬の頻尿は早期発見で治療可能です。
この記事では、犬の頻尿の原因、症状、治療法について説明します。さらに、犬の頻尿を治療するための方法についても触れます。
犬の健康を維持するためには、飼い主がこの問題に関心を持ち、早期に対処しましょう。
目次
犬の一時的な多飲多尿について
多飲多尿とは、たくさん水を飲み、たくさんおしっこをすることです。
頻尿であっても一時的に多飲多尿であれば、特に問題はありません。例えば、気温が上がる夏や運動後は充分な水分補給が必要であり、それに伴う多尿は自然な症状です。
しかし、そうでない場合、犬の頻尿は多くの病気の初期段階として起こる症状なので、「愛犬のトイレの回数が多くなった」と感じたら注意が必要です。
病気が原因かどうかという判断は、簡単ではありませんが、特に以下の症状が長い期間続くようであれば何かしらの対策が必要かもしれません。
・お漏らしや失禁をする
・排尿時間がやたら長い
・水の器が空になる頻度が多い
・いつも水ばかり飲んでいる
次章からは、より具体的な頻尿の原因と対策について解説します。
一時的な多飲多尿なのか、犬の身体に変化が起きているのか、しっかり検討しましょう。
犬の病気によるの頻尿
尿路感染症
犬が頻尿を起こす原因の一つに尿路感染症があります。
尿路感染症は、細菌が尿道から膀胱に侵入し、膀胱炎や腎臓感染症を引き起こす病気です。犬が尿路感染症にかかる原因は様々で、女性犬は男性犬に比べて感染症のリスクが高い傾向にあります。また、免疫力が低下している犬や、糖尿病や膀胱の異常がある犬も感染症にかかりやすい傾向があります。
尿路感染症の症状は、頻尿や排尿困難、血尿、尿のにおいが強くなるなどです。犬がこれらの症状を示した場合は、速やかに獣医師に相談し、適切な治療を受ける必要があります。治療法には、細菌に効果的な抗生物質の投与が一般的で、薬物療法と併せて栄養療法や水分補給なども行われます。
糖尿病
糖尿病が原因で犬が頻尿を起こすこともあります。
糖尿病とは、インスリンというホルモンが不足しているため、血液中のブドウ糖をうまく利用できなくなる病気です。犬が糖尿病にかかる原因は、遺伝的な要因や肥満、運動不足、ストレスなどが挙げられます。
糖尿病によって、犬の体内に過剰なブドウ糖が蓄積され、腎臓がその余分な糖を尿に排出するため、犬が頻尿を起こすようになります。また、犬の尿には糖が含まれるため、尿が甘い匂いを放つこともあります。
糖尿病の症状は、頻尿や多飲、体重減少、食欲不振、尿の色が濃くなるなどです。これらの症状がある場合は、速やかに獣医師に相談し、適切な治療を受ける必要です。治療法としては、適切な食事療法や運動、インスリン注射が行われます。
膀胱炎
膀胱炎によって頻尿を起こすこともあります。
膀胱炎とは、膀胱内に細菌が繁殖して炎症が起こる病気で、犬がかかる原因は、細菌感染、ストレス、免疫力の低下、膀胱内の異物や尿の滞留などが挙げられます。
膀胱炎によって、犬の膀胱の内壁が炎症を起こし、膀胱容量が減少するため、尿がたまるとすぐに排出されるようになります。このため、犬が頻尿を起こすようになります。また、犬の尿には、膀胱炎による炎症が原因で血尿が混じることもあります。
膀胱炎の症状は、頻尿や排尿時の痛み、血尿、尿の色が濃くなる、腹部の痛みなどです。これらの症状がある場合は、速やかに獣医師に相談し、適切な治療を受ける必要があります。治療法としては、抗生物質や炎症を抑える薬の投与が行われます。
犬の年齢、性別による頻尿
シニア犬の頻尿
シニア犬が頻尿を起こすのは、加齢による生理的な変化が原因の一つとされています。
年を重ねると、犬の膀胱や尿道の筋肉が弱くなり、膀胱容量が減少するため、短時間で何度も尿意を催すようになります。また、膀胱の収縮力が低下し、完全に排尿できない場合があるため、残尿が残っている状態で尿をためることができず、頻尿を起こす場合があります。
シニア犬が頻尿を起こす場合は、定期的な健康診断でその原因を見つけ出すことが重要です。獣医師は、尿検査や血液検査、エコー検査などを行い、原因を特定し、適切な治療法を提供してくれます。また、シニア犬の健康維持には、適切な食事、適度な運動、定期的な健康診断や衛生管理が必要です。
オス犬の頻尿
オス犬が頻尿を起こす原因としては、前立腺疾患が挙げられます。
前立腺は、オス犬にのみ存在する器官で、尿道の周囲に位置し、精液の成分を分泌する役割があります。前立腺に炎症が起こると、周囲の組織が圧迫され、尿道の通りが悪くなり、尿の排出が困難になるため、頻尿を引き起こすことがあります。また、前立腺が肥大すると、膀胱に圧迫をかけ、膀胱の収容能力が低下し、頻尿を引き起こすことがあります。
その他に、オス犬が頻尿を起こす原因としては、尿路感染症、膀胱炎、膀胱結石、膀胱腫瘍などがあります。これらの疾患によって、尿路や膀胱に炎症が起こり、頻尿を引き起こすことがあります。
ストレスによる頻尿
犬はストレスによって頻尿を起こすこともあります。
これは人間でもおこる現象で、緊張や不安を感じたときに尿意を感じる経験は誰もがあるのではないでしょうか?
人間の場合は、言葉で伝えることでストレスの少ない状態へと自ら変えることができますが、ペットの場合、そのストレスをうまく伝えられないかもしれません。それにより、継続的に頻尿が発症してしまう場合もあります。
一時的なストレスで頻尿になることは問題ありませんが、愛犬にとっての身の回りの騒音や寝床の環境など、継続的にストレスがかかる状態がないか改めて確認することが重要です。
犬の頻尿に伴う症状
犬が頻尿を起こすと、以下のような症状が現れることがあります。
頻繁に排尿する:犬が頻尿を起こす場合、尿意を催し、短時間で何度も排尿することがあります。また、排尿時に苦痛を伴う場合もあります。
尿失禁:犬が頻尿を起こすと、膀胱の収容能力が低下し、尿が漏れることがあります。尿失禁によって、肛門周辺が汚れたり、皮膚炎や尿路感染症を引き起こすことがあります。
行動の変化:犬が頻尿を起こすと、何度もトイレに行くため、日常生活に支障が出ることがあります。また、排尿時に苦痛を感じるため、お散歩や遊びを控えるようになることがあります。
食欲不振:犬が痛みを感じるため、食欲が低下することがあります。
異常な行動:犬が頻尿を起こすと、不安やストレスを感じることがあり、異常な行動をとることがあります。例えば、床や壁をなめる、部屋の中を徘徊する、吠えるなどが挙げられます。
犬が頻尿を起こす場合は、症状に注意し、早期に獣医師の診断を受けることが重要です。適切な治療を行うことで、症状を改善し、犬の健康を守ることができます。
犬の尿の色や匂いについて
黄色や茶色の尿
犬が頻尿を起こし、黄色や茶色の尿を排泄する場合、以下のような原因が考えられます。
・脱水症状
脱水症状は、犬が十分な水分を摂取できず、体内の水分が不足することで起こります。脱水症状が進むと、犬の尿が濃く、黄色や茶色になることがあります。
・肝臓疾患
肝臓疾患は、肝臓の機能が低下することで起こる病気です。肝臓が正常に機能しない場合、黄疸と呼ばれる症状が現れ、尿が黄色や茶色になることがあります。
・膀胱炎
膀胱炎は、膀胱が炎症を起こすことで起こる病気です。炎症が進むと、尿が濁り、黄色や茶色になることがあります。
・腎臓疾患
腎臓疾患は、腎臓の機能が低下することで起こる病気です。腎臓が正常に機能しない場合、尿中に余分な物質が排泄されず、尿が濃くなり、黄色や茶色になることがあります。
犬が黄色や茶色の尿を排泄する場合は、早期に獣医師の診断を受け、原因を特定し、適切な治療を行うことが大切です。適切な治療を行うことで、犬の健康を守り、症状を改善することができます。
臭いの強い尿
犬の尿は、人間の尿と比べて強い臭いがすることがあります。しかし、犬の尿が通常よりも強い臭いを放つ場合、以下のような原因が考えられます。
・尿路感染症
尿路感染症は、細菌によって尿路が感染することで起こる病気です。感染が進むと、尿が腐敗するため、強い臭いを放つことがあります。
・膀胱炎
膀胱炎は、膀胱が炎症を起こすことで起こる病気です。炎症が進むと、尿が腐敗するため、強い臭いを放つことがあります。
・腎臓疾患
腎臓疾患は、腎臓の機能が低下することで起こる病気です。腎臓が正常に機能しない場合、尿中に余分な物質が排泄されず、臭いが強くなることがあります。
・食事
犬が消化しにくい食べ物や、高たんぱくな食事を摂取すると、尿が臭くなることがあります。
犬の尿が臭い場合は、病気や食事などの原因を特定し、適切な対策をとることが重要です。また、食事にも注意し、消化しやすく、バランスの取れた食事を与えることも大切です。
犬の頻尿の治療
犬の頻尿の原因の正確な特定が必要
犬の頻尿の原因を正確に特定するためには、症状や臨床所見に基づいて獣医師が適切な検査を行うことが必要です。
まず、尿検査が行われます。尿検査では、尿中に異常が見られるかどうかを調べることができます。異常が見られた場合は、尿培養や尿細胞診などの検査が行われ、尿路感染症や膀胱炎などの疾患を特定することができます。
また、血液検査や画像検査(超音波検査、レントゲン検査、CT検査など)も行われることがあります。これらの検査によって、腎臓や尿路に問題があるかどうか、腫瘍や結石などの異常があるかどうかを確認することができます。
獣医師は、これらの検査結果をもとに、犬の頻尿の原因を正確に特定し、適切な治療を行うことができます。犬の頻尿には様々な原因が考えられますが、早期に症状を発見は、犬の健康維持に大きく影響します。
治療の遅延が犬の健康に悪影響を与える可能性がある
犬の頻尿の原因には様々な疾患がありますが、それらの疾患は放置すると重篤な合併症を引き起こすことがあります。
例えば、尿路感染症による頻尿が原因である場合、感染が進行すると腎臓に損傷を与え、尿毒症を引き起こすことがあります。また、膀胱炎による頻尿が原因である場合、膀胱が慢性的に炎症を起こし、膀胱石や膀胱がんなどの疾患を引き起こすことがあります。
糖尿病による頻尿が原因である場合、放置すると低血糖症や高血糖症などの合併症を引き起こすことがあります。そのため、治療が遅れると犬の健康状態が悪化し、治療がより難しくなる場合があります。
犬の頻尿の治療法の種類
犬の頻尿の治療法には、以下のような種類があります。
・病気の原因に応じた治療法
犬の頻尿の原因に応じた治療法があります。たとえば、尿路感染症が原因の場合は、抗生物質が処方されることがあります。糖尿病が原因の場合は、適切な食事療法やインスリン注射が必要となります。
・薬物療法
頻尿の症状を軽減するために、利尿剤や抗炎症薬などが処方されることがあります。これらの薬物は、病気の治療に加えて、痛みや不快感を和らげる効果もあります。
・手術
犬の頻尿が原因となる病気には、手術による治療法があります。たとえば、膀胱炎が原因の場合には、膀胱に異物がある場合は手術で摘出されます。また、膀胱腫瘍の場合には、腫瘍が摘出されることがあります。
・生活習慣の改善
犬の頻尿を治療するために、生活習慣の改善が必要な場合があります。たとえば、犬が十分に水分を摂取しているかどうかを確認し、水分不足の場合には水分補給を行うことが重要です。また、排尿の際にトイレの場所を変えたり、トイレトレーニングを行うことで、頻尿の症状を改善することができます。
まとめ:愛犬の頻尿は早期発見と適切な対応が大事
犬の頻尿は、様々な原因によって引き起こされる症状であることがわかりました。
特にシニア犬は、尿失禁や過活動膀胱などによって頻尿の症状が現れやすいため、定期的な健康管理が必要です。また、頻尿に伴う症状としては、尿の色や臭い、血尿などがあります。早期の発見と適切な治療が必要です。
治療法には、病気の原因に合わせた投薬や手術などがありますが、改善が見られない場合は病院での精密検査が必要です。ペットの健康には、日々の観察や定期的な健康診断が欠かせません。
犬の頻尿に関する記事を通じて、ペットの健康についての知識を深め、ペットと共に健やかな暮らしを送りましょう。
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