老犬がかかる病気は、人間と同様に高齢になることで、様々な病気にかかりやすくなります。
犬は自らの痛みや苦痛を上手に表現できず、初期段階では症状が軽微であることが多いため、獣医師の診断を受けることが重要です。
しかし、飼い主が健康に関する知識を持ち、早期発見、早期治療することで、犬の健康を維持することができます。
老犬がかかる病気は、多種多様であり、代表的なものには心臓病や糖尿病、関節症、皮膚病、腫瘍などがあります。これらの病気にかかると、犬の生活に多大な影響を与えることがあります。
本記事では、老犬がかかる代表的な病気や、病気の症状、治療方法、予防方法などを紹介していきます。特に、皮膚病に関して、老犬の健康維持には、獣医師と協力しながら、日々のケアを行うことが重要です。
目次
老犬の病気について
老犬の病気についての統計には、様々なデータが存在しています。
例えば、日本獣医師会が公表している2019年の犬猫飼育実態調査によると、犬の平均寿命は12.8歳であり、犬が高齢化するにつれて病気にかかる割合が高くなる傾向があります。
また、老犬がかかりやすい病気の中でも、最も多いのが関節症であり、全体の約4割が関節症を発症しています。次に多いのが皮膚病で、約3割が皮膚病を発症しています。
老犬がかかりやすい病気の中でも重大な病気として心臓病が挙げられます。日本獣医師会によると、犬の死因の上位3つはがん、老衰、心臓病であり、犬が高齢になるにつれて心臓病が発症する確率が高くなるとされています。
以上のように、老犬がかかりやすい病気は様々であり、それぞれに対する予防や治療方法が存在します。老犬と向き合う上で、飼い主は定期的な健康チェックや、獣医師との相談を通じて、犬の健康管理に力を入れることが大切です。
老犬がかかりやすい病気とは
老犬の病気について、代表的なものは以下になります。
1.皮膚病
老犬の皮膚は薄くなり、乾燥しやすく、かゆみや炎症が起こりやすくなります。また、老犬は免疫力が低下しているため、細菌や真菌感染にかかりやすいとされています。皮膚病には、アレルギー性皮膚炎、脂漏症、皮膚腫瘍などが挙げられます。
2.関節症
老犬が最もかかりやすい病気で、特に股関節や膝関節の痛みや運動制限が多いとされています。原因としては、加齢や運動不足、肥満、遺伝的な要因などが挙げられます。
3.糖尿病
高齢犬において発生する病気で、インスリンの分泌不足やインスリンの働きが弱まることによって血糖値が上昇し、尿や食欲の異常、下痢、嘔吐などの症状が現れます。原因としては、肥満、運動不足、遺伝的な要因などが挙げられます。
4.心臓病
老犬において最も多い死因である心臓病は、加齢や遺伝的な要因、栄養不良、寄生虫感染などが原因とされています。心臓病の症状としては、呼吸困難、咳、食欲不振、体重減少などがあります。
老犬の病気は、犬種や個体差によっても発生率が異なります。飼い主は犬の健康管理に力を入れ、獣医師との定期的な相談を通じて、犬の健康維持に努めることが大切です。
老犬がかかる皮膚病とその症状
老犬の皮膚は、年齢とともに乾燥しやすくなり、かゆみや炎症が起こりやすくなります。また、老犬は免疫力が低下しているため、細菌や真菌感染にかかりやすいとされています。以下に、老犬がかかりやすい皮膚病の症状をいくつか紹介します。
・アレルギー性皮膚炎
アレルギー性皮膚炎は、アレルギー反応が原因となって発生する病気で、症状としては、かゆみ、湿疹、皮膚の赤みや腫れが現れます。特に、老犬になると、薬による副作用が出ることがあります。
・脂漏症
脂漏症は、皮脂の過剰分泌が原因で、犬の皮膚に炎症が生じる病気です。症状としては、皮膚の赤みやかゆみ、皮膚の乾燥やフケ、臭いなどがあります。
・皮膚腫瘍
皮膚腫瘍は、老犬に多く見られる病気の一つで、皮膚にできるしこりや腫れなどが症状として現れます。良性の腫瘍もあれば、悪性の腫瘍もあり、早期に獣医師に相談することが重要です。
これらの皮膚病の症状は、初期段階では症状が軽微であることが多いため、獣医師による定期的な健康診断が重要です。また、症状が現れた場合は、早期に獣医師に相談することが重要であり、適切な治療を受けることが大切です。
老犬の関節症とその症状
老犬が最もかかりやすい病気の一つである関節症は、股関節や膝関節など、犬の関節に炎症や痛みが生じる病気です。犬が高齢になるとともに、骨密度が低下するため、症状が進行することがあります。以下に、関節症の症状をいくつか紹介します。
・運動制限
関節症の犬は、体を動かすことが痛くてできなくなってしまいます。犬が普段していた運動や散歩の距離が短くなったり、登り降りができなくなるなどの症状が見られます。
・歩き方の変化
関節症にかかった犬は、歩き方に変化が現れることがあります。例えば、跛行(はこう)といった歩行障害が現れ、片足を引きずったり、ゆっくりとした歩き方をするようになることがあります。
・痛みや炎症
関節症にかかった犬は、痛みや炎症が現れることがあります。痛みを伴うため、関節に触れることを嫌がり、嫌がる仕草をすることがあります。
関節症は、症状が進行すると犬の生活に多大な影響を与えるため、早期に治療を開始することが大切です。治療法には、痛みの緩和のための痛み止めの投与や、食事療法、運動療法、サプリメントの投与などがあります。獣医師と協力しながら、犬の健康維持に努めましょう。
老犬がかかる糖尿病とその症状
老犬がかかる糖尿病は、インスリンの分泌不足やインスリンの働きが弱まることによって血糖値が上昇し、尿や食欲の異常、下痢、嘔吐などの症状が現れます。犬が高齢になるにつれて、糖尿病にかかる確率が高くなるとされています。
糖尿病の症状としては、次のようなものが挙げられます。
・尿の異常
糖尿病にかかった犬は、尿の量が増え、尿が甘い匂いを放つようになります。また、トイレの回数が増えたり、失禁することがあります。
・食欲不振や体重減少
糖尿病の犬は、食欲が落ちて食べ物を拒否することがあり、体重が減少することがあります。
・下痢や嘔吐
糖尿病の犬は、腸内環境が変化することで下痢や嘔吐を起こすことがあります。
・眼の異常
糖尿病にかかった犬は、緑内障や白内障の発症率が高くなります。眼の奥が見えにくくなるため、視力が低下することがあります。
糖尿病は、犬が高齢になるとかかりやすくなる病気です。治療法としては、食事管理や運動療法、インスリンの投与などがあります。獣医師と協力しながら、適切な治療を受けることで、犬の健康維持に努めましょう。
老犬がかかる心臓病とその症状
老犬がかかる心臓病には、様々な種類がありますが、代表的なものとして「僧帽弁閉鎖不全症」「慢性心臓弁膜症」「心筋症」が挙げられます。これらの病気は、老犬になると発生しやすく、症状が進行すると命にかかわることもあります。
僧帽弁閉鎖不全症は、僧帽弁という弁が正常に働かなくなり、血液が逆流して心臓がうまく動かなくなる病気です。症状としては、呼吸困難、くしゃみ、咳、食欲不振などがあります。また、進行すると肺水腫や失神などの重篤な症状が現れることもあります。
慢性心臓弁膜症は、心臓の弁に異常が生じ、心臓の働きが低下する病気です。症状としては、息切れ、咳、疲れやすい、食欲不振などがあります。また、進行すると心不全や肺水腫などの症状が現れることもあります。
心筋症は、心臓筋が拡大して弱くなり、心臓の収縮力が低下する病気です。症状としては、息切れ、咳、食欲不振、疲れやすいなどがあります。また、進行すると心不全や心臓発作などの重篤な症状が現れることもあります。
これらの心臓病の症状は、徐々に現れる場合が多く、初期段階では症状が軽微であることが多いため、獣医師による定期的な健康診断が重要です。また、症状が現れた場合は、早期に獣医師に相談することが重要であり、適切な治療を受けることが大切です。
発症率の高い皮膚病
アニコムのデータによると、4頭に1頭の割合で皮膚病の保険金請求を行っています。これは、皮膚病がいかに日常的に発症しやすい病気だということを示しています。
皮膚病の検査方法
アレルギー性皮膚病(アトピー性皮膚炎)や食物アレルギーなど、アレルギーが原因となる皮膚の症状を特定するために、犬のアレルギー検査が行われます。
アレルギー検査は主に次の2つの方法があります。
・血液検査(抗原特異的IgE検査)
血液検査は、犬の血液中の抗体レベルを測定することでアレルゲン(アレルギーの原因物質)を特定します。犬がアレルゲンに反応している場合、そのアレルゲンに対する特異的IgE抗体が血液中に見られます。
この検査は、特定のアレルゲンに対する感受性を評価するのに役立ちますが、必ずしもアレルギー症状と直接関連しているわけではありません。
・皮膚検査(組織反応試験)
皮膚検査では、犬の皮膚にアレルゲンを直接適用し、その部位の反応を観察することでアレルギーを特定します。小さなアレルゲンの溶液を皮膚に注射またはスクラッチし、腫れや赤みが出るかどうかを観察します。
この方法は、アレルギー性皮膚病の原因を特定するのに非常に有用ですが、全てのアレルゲンに対して実施することは困難です。
これらの検査により、アレルギー原因物質を特定できることがありますが、アレルギー検査は必ずしも完璧ではありません。獣医師が詳細な問診や、除去食試験(食物アレルギーの検査)を行ってアレルギー原因を特定することもあり、すべての結果を総合的に判断して、原因を特定していきます。
皮膚病の検査費や治療費
以下はあくまで一例ですが、愛犬が皮膚病を発症した場合にはこのような費用がかかります。
・アレルギー性皮膚炎
アレルギー性皮膚炎の場合、診断には血液検査や皮膚検査が必要で、これらの検査費用は数千円から数万円の範囲です。
また、治療にはステロイド、抗ヒスタミン薬、免疫抑制剤などの薬が用いられ、費用は数千円から1か月あたり1万円程度かかることがあります。アレルギー性の場合、良くなったり悪くなったりを繰り返すこともあり、薬が継続的に必要になる場合もあります。
・皮膚感染症
皮膚感染症は、細菌や真菌が原因で、炎症や膿を伴います。診断には皮膚スクレイピングや培養検査が行われ、検査費用は数千円から1万円程度です。
また、治療には抗生物質や抗真菌薬が処方され、通常2週間から1か月の治療が必要です。治療費用は数千円から1万円程度です。
老犬の病気の治療方法の一覧
老犬がかかる病気は、多種多様ですが、以下に代表的な病気の治療方法を列挙します。
関節症
痛み止めの投与
食事療法
運動療法
サプリメントの投与
糖尿病
インスリン注射
食事管理
適度な運動療法
皮膚病
薬物療法
食事管理
皮膚の清潔管理
予防対策(ノミ・ダニの駆除など)
心臓病
薬物療法
食事管理
適度な運動療法
心臓手術
これらの治療方法は、病気の進行具合や犬の年齢、体調などによって異なります。適切な治療方法を選択し、獣医師と協力しながら、犬の健康維持に努めましょう。また、定期的な健康診断や予防接種、適切な食事管理や運動療法などの日々のケアも重要です。
まとめ:老犬のかかりやすい病気を把握しよう
老犬がかかる病気は、犬が高齢になるにつれて発症することが多く、多種多様な病気があります。代表的な病気には、心臓病や糖尿病、関節症、皮膚病、腫瘍などがあります。これらの病気は、症状が現れた場合には、早期の発見と治療が重要です。
治療方法としては、薬物療法、食事管理、運動療法、手術などがあり、病気の進行具合や犬の年齢、体調などによって異なります。また、定期的な健康診断や予防接種、適切な食事管理や運動療法などの日々のケアも重要です。
老犬の健康維持には、獣医師と協力しながら、適切な治療やケアを行い、健康な生活を送らせることが大切です。病気の予防としても、健康診断や適切な食事管理、運動療法、予防接種などを行うことが重要です。犬が健康に過ごせるように、飼い主として日々のケアをしっかりと行いましょう。
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