「愛犬がかかりやすい病気を知りたい」
「うちの子がかかりやすい病気はあるのかしら?」
年をとった愛犬にいつまでも長生きしてほしい飼い主さんは、こんな思いを抱えていませんか?また、病気の予防法を知りたい飼い主さんも多いことでしょう。
そこでこの記事では、カテゴリー別に老犬がかかりやすい病気の症状や好発犬種、原因や予防法を解説します。
老犬がかかりやすい病気について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
老犬の病気は早期治療・早期発見が重要
老犬は、人間と同じように、老化とともに体の機能や免疫力が低下することで病気にかかりやすくなります。とはいえ、「老化のせいだ」「老犬だから仕方がない」と老犬の異変を放置してはいけません。
この記事では、老犬で良く見られる病気を以下の11のカテゴリーに分類して解説します。
・目の病気
・口の病気
・皮膚の病気
・関節の病気
・消化器の病気
・循環器の病気
・泌尿器の病気
・生殖器の病気
・ホルモンの病気
・脳の病気
・がん
老犬に長生きしてもらうには、これらの早期発見・早期治療は必須です。老犬がかかりやすい病気は予防が難しいものも多く、完治できないものもあります。しかし、早い段階で対処すれば、より長く愛犬の元気な姿を見られるでしょう。
そのため、次の章からは老犬がかかりやすい病気の原因や症状、その病気になりやすい犬種や病気を予防する方法について解説します。
白内障【目の病気】
白内障とは、水晶体が濁り、黒目部分が白く見える病気です。
症状
・散歩に行きたがらない
・物にぶつかる
・臆病になる
好発犬種
・コッカー・スパニエル
・ジャック・ラッセル・テリア
・ビーグル
予防法
白内障は、老化だけでなく、紫外線や物理的刺激などでも発症します。そのため予防法としては、室内で飼う、ほかの犬とケンカさせないなどがあげられます。
また、抗酸化成分やビタミンAを含む食品やサプリメントを摂取させるのもおすすめです。
歯周病【口の病気】
歯周病とは、口内で細菌が繁殖し、炎症を起こす病気です。
症状
・口が臭い
・歯ぐきが腫れる
・頻繁にくしゃみをする
好発犬種
・トイ・プードル
・イタリアン・グレーハウンド
・ミニチュア・ダックスフント
予防法
歯周病の1番の予防法は、毎日の歯磨きです。歯磨きが苦手な犬の場合は、食事後に水を飲ませるだけでも歯垢や歯石がつきにくくなります。
それでも歯石がついてしまった場合は、獣医師と相談のうえ、病院で除去してもらいましょう。
皮膚真菌症【皮膚の病気】
皮膚真菌症とは、老化に伴って免疫力が低下することで、真菌が皮膚上で異常に繁殖してしまう病気です。
症状
・かゆみ
・独特な臭い
・脱毛
好発犬種
・柴犬
・シー・ズー
・フレンチ・ブルドッグ
予防法
皮膚真菌症を予防するには、皮膚のケアと免疫力アップがポイントです。定期的にブラッシングやシャンプーを行い、体を清潔に保ちましょう。また、免疫力を低下させないため、適切な食事や運動、ストレスのない環境作りを心がけてください。
椎間板ヘルニア【関節の病気】
椎間板ヘルニアとは、椎間板(背骨を構成している椎骨と椎骨の間にあるクッション)が神経を圧迫することで、痛みを生じる病気です。
症状
・じっとしていることが増える
・階段を上がりたがらない
・抱き上げようとすると「キャン」と鳴く
好発犬種
・ミニチュア・ダックスフント
・ウェルシュ・コーギー
・ビーグル
予防法
椎間板ヘルニアを予防するには、関節に負担をかけないことが1番です。足が滑らないようにフローリングの上にマットを敷いたり、ソファやベッドから飛び降りなくても良いようにスロープを付けたりすると良いでしょう。
また、太らせないことも重要です。適度な運動で筋力の低下を防ぎつつ肥満防止に努めましょう。
膵炎【消化器の病気】
膵炎とは、本来食べ物を消化するために分泌される膵液が自分の膵臓を消化してしまう恐ろしい病気です。
症状
・嘔吐
・元気がない
・強い腹痛(お祈りポーズ)
好発犬種
・ミニチュア・シュナウザー
・コッカー・スパニエル
・ヨークシャー・テリア
予防法
人間の食べ物や犬用のジャーキーといった高脂肪な食べ物を与えないようにするだけでも、膵炎のリスクを軽減できます。
さらに、拾い食いした食べ物によっては急性膵炎を引き起こす可能性もあります。拾い食いのクセがある犬は、特に注意してください。
僧帽弁閉鎖不全症【循環器の病気】
僧帽弁閉鎖不全症とは、心臓の左心房と左心室を隔てる僧帽弁が変形することで血流が逆流する病気です。
症状
・息が荒い
・咳が出る
・運動したがらない
好発犬種
・キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
・チワワ
・マルチーズ
予防法
現時点では、僧帽弁が変化する原因が明確には分かっていません。そのため、効果的な予防法はありませんが、心臓に負担をかけないようにすることをおすすめします。適正体重の維持と適切な温度管理を心がけると良いでしょう。
慢性腎臓病【泌尿器の病気】
慢性腎臓病とは、加齢に伴って徐々に腎臓の機能が低下する、早期発見が難しい病気です。
症状
・多飲多尿
・元気がない
・体重減少
好発犬種
・ブル・テリア
・イングリッシュ・コッカー・スパニエル
・キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
予防法
慢性腎臓病の明確な予防法はありません。とはいえ、腎臓に負担をかけないことで、リスクを減らすことはできます。
塩分の多い人間の食事を与えるのは避け、常に十分な水を準備しておくようにしましょう。
また、歯周病を予防することは慢性腎臓病の予防にもつながります。
前立腺肥大(オス)【生殖器の病気】
前立腺肥大とは、膀胱や直腸の近くに位置し尿道を囲んでいる前立腺(オス特有の器官)が肥大する病気です。
症状
・おしっこの量が減る
・細い便が出る
・排便時に痛がる
好発犬種
前立腺肥大は、犬種に限らず去勢をしていない高齢のオス犬に多い病気です。6歳以上であれば半数以上、9歳以上であればほとんどが発症するともいわれています。
予防法
前立腺肥大の最も有効な予防法は、去勢手術をすることです。ただし老犬の場合は、麻酔のリスクから去勢手術ができない場合もあります。元気なうちに、去勢手術をしておくことをおすすめします。
子宮蓄膿症(メス)【生殖器の病気】
子宮蓄膿症とは、細菌が感染することで、子宮(メス特有の器官)に膿がたまる病気です。
症状
・多飲多尿
・陰部を頻繁に舐める
・嘔吐
好発犬種
子宮蓄膿症は、犬種に限らず避妊していない高齢のメス犬に多い病気です。特に、子犬を産んだ経験がない、または長期間出産していない未避妊の犬がなりやすいと考えられています。
予防法
子宮蓄膿症の1番の予防法は、避妊手術をすることです。ただし老犬の場合は、麻酔のリスクから避妊手術ができない場合もあります。避妊手術は、発情のストレスも減らすだけでなく、乳腺腫瘍の予防にもつながるため、早い段階で行うことをおすすめします。
甲状腺機能亢進症(クッシング症候群)【ホルモンの病気】
甲状腺機能亢進症(クッシング症候群)とは、代謝や血液濃度を調節する役割がある副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が過剰に分泌される病気です。
症状
・多飲多尿
・食欲増加
・脱毛
好発犬種
・トイ・プードル
・ミニチュア・ダックスフント
・ボストン・テリア
予防法
老犬の場合は副腎の腫瘍が原因であることが多く、明確な予防法はありません。
しかし、ステロイド系の薬の長期服用が原因で発症する場合もあります。病気の治療に薬を使う場合は、副作用を理解したうえで、量や与える期間を守って使いましょう。
糖尿病【ホルモンの病気】
糖尿病は、血糖値を低下させるインスリンの分泌減少や作用の低下によって血糖値が高い状態が続き、尿中に糖が出てしまう病気です。
症状
・多飲多尿
・体重減少
・元気がない
好発犬種
・トイ・プードル
・ミニチュア・ダックスフント
・ジャック・ラッセル・テリア
予防法
糖尿病のリスクを減らすには、適正体重を維持することが重要です。ライフステージに合った食事と適度な運動を心がけましょう。
前庭疾患【脳の病気】
前庭疾患とは、平衡感覚をつかさどる前庭に異常が起こり、めまいを起こしているような病気です。
症状
・頭が傾く
・黒目が左右に細かく揺れる(眼振)
・一方向にグルグル回る
好発犬種
・ドーベルマン・ピンシャー
・ジャーマン・シェパード
・柴犬
予防法
前庭疾患は原因が分からないことが多く、予防が難しい病気です。そのため、発症後の対処スピードが大切。突然の発症に愛犬がパニックになっている可能性もあるため、抱き上げる際は、慎重に行ってください。
認知症【脳の病気】
認知症とは、加齢と共に脳が変化し、認知機能が低下する病気です。
症状
・夜泣き
・トイレの失敗が増える
・狭い場所に入り、バックできない
好発犬種
・柴犬
・日本犬系の雑種
・ヨークシャー・テリア
予防法
認知症の予防法としては、脳に栄養を与えることと脳を刺激することがおすすめです。脳に良いとされるDHAや抗酸化成分を含むサプリメントや食事を与えると良いでしょう。
また、新しいおもちゃを与えたり、散歩コースを変えたりするのも効果的です。
精巣腫瘍(オス)【ガン】
精巣腫瘍は、オスの精巣に腫瘍(ガン)ができる病気です。
症状
・精巣の肥大
・脱毛
・乳腺が腫れる
好発犬種
・ミニチュア・ダックスフント
・ミニチュア・シュナウザー
・ポメラニアン
予防法
精巣腫瘍を予防する最も有効な方法は、精巣を取り除く去勢手術です。
ちなみに、お腹の中に精巣がとどまった状態の停留精巣は、精巣腫瘍のリスクを格段に高めます。特に保護犬の場合は、去勢済みと勘違いしないように、病院で確認しましょう。
乳腺腫瘍(メス)【ガン】
乳腺腫瘍は、乳腺に腫瘍(ガン)ができる病気です。
症状
・乳腺にしこりができる
・痛み
・出血
好発犬種
・マルチーズ
・プードル
・ヨークシャー・テリア
予防法
乳腺腫瘍を予防するには、避妊手術が最も効果的です。できれば、初めての発情よりも前に避妊手術を行いましょう。
また、稀ではありますがオスも発症する場合があるため、注意してください。
まとめ:老犬がかかりやすい病気を知り、早期発見・早期治療を
この記事では、カテゴリー別に老犬がかかりやすい病気の症状や好発犬種、原因や予防法を解説しました。
ただし、この記事で紹介した病気の症状や好発犬種、予防法は一般的にいわれていることであって、すべての犬に当てはまるわけではありません。この記事で紹介した症状が出ていないからといって「病気でない」とは言い切れませんし、予防法を試したからといって絶対にその病気にならないわけでもありません。
そのため、老犬の健康を守るには、病気の早期発見・早期治療は必須なのです。
そして、老犬の病気を早期発見するには、定期的な健康診断と飼い主さんの日ごろの観察が重要です。愛犬と少しでも長く暮らすためにも、愛犬の健康状態を定期的に獣医師と一緒に確認しつつ、日常生活の中で異変に気づいたらすぐに病院を受診してください。
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