食欲旺盛だった愛犬が、シニアになって急にご飯を食べなくなったら心配になりますよね?
「つい数日前までは食べていたのにどうして?」
「どうしたらご飯を食べてくれるのだろう?」
と思う飼い主さんも多いことでしょう。
そんな時、老犬がご飯を食べなくなる原因とその原因に合わせた食べさせ方を知っていれば、突然ご飯を食べなくなった老犬に対してもあせらず対処することができます。
この記事では、老犬がご飯を食べないときに考えられる3つの原因とその原因それぞれに合わせた食事の食べさせ方のポイントを詳しく解説します。
これらを参考にして、ご飯を食べない愛犬においしくご飯を食べてもらいましょう。
老犬の必要カロリーについてはこちら記事で解説しています↓↓
目次
老犬がご飯を食べないときに考えられる原因は?
老犬がご飯を食べないときに考えられる原因は、主に次の3つが考えられます。
・老化
・病気
・そのほか(老化や病気以外)
前提として、老犬の食欲不振の原因を突き止めるのは簡単ではありません。しかし、病気が原因の場合は早期の治療が必要になってくるので、まずは動物病院を受診すること。
そこで原因が特定されれば、その原因に合わせた食べさせ方を実践してみてください。もし原因が特定されなくても、この記事で紹介する食べさせ方を1つずつ試すことで、ご飯を食べてくれるようになるかもしれません。
次の章から、考えられる3つの原因に合わせた食べさせ方をそれぞれ解説していきます。
老化が原因でご飯を食べないときの食べさせ方
老化が原因でご飯を食べない場合は治療して回復させるというわけにはいかないので、より「愛犬に合った食事」、もっと言うと「愛犬の老化レベルに合わせた食事」にするよう心がけましょう。
老化によってご飯を食べなくなる理由として、以下の6つが考えられます。
・食欲の低下
・消化機能や代謝能力の低下
・視覚・嗅覚・味覚の低下
・食べる力の低下
・好みの変化
・ストレス
食欲の低下
シニアになると、寝る時間が増えたり寝たきりになったりすることで、エネルギーが消費されず食欲も低下してしまいがちです。そんなとき、自力で歩ける場合は、散歩に行ったり飼い主さんと遊んだりして運動するとお腹が減るかもしれません。寝たきりの場合でも、寝返りやマッサージをして血行を良くすることで食欲を促進することができます。
また、食に対する興味が薄れたことによる食欲の低下では、フードを中に入れられる知育トイやノーズワークマットなどを利用することで楽しんで食べるようになるかもしれません。そんなおもちゃやマットがないという場合でも、床に転がしたり宝さがしのように部屋のあちこちに置いたフードを探しながら食べたりすることで食べたいという気持ちになることもあるでしょう。
消化機能や代謝能力の低下
シニアになると、消化機能や代謝能力が落ちてきます。そのため、1度にたくさんのご飯を食べると内臓に負担をかけることも。できるだけ内臓への負担を減らすために、ご飯を与えすぎない、1日の食事回数を増やすといった対策をとりましょう。
ドッグフードの場合は、パッケージの裏に書かれてある量を守るようにしてください。
1日の食事回数を増やす場合は、1日に与える量は変えないようにしてくださいね。
老犬の食事の回数に関する解説はこちらの記事をご覧ください↓↓
視覚・嗅覚・味覚の低下
年をとるにつれて視覚や嗅覚、味覚が衰えてくると、出されたご飯がおいしいものと判断できずに、ご飯を食べなくなることも。そんなときは、ご飯の匂いを強めましょう。具体的な方法は、匂いが強く味が濃いものをトッピング、フードを温めるなどがあります。
チーズや鰹節、ウェットフードなどは匂いが強く、味が濃いので好きな犬は多いのではないでしょうか?これらをトッピングすることで、ご飯も食べてくれるかもしれません。しかし、毎回トッピングしていてはカロリーオーバーで太ってしまうので、ご飯の量を少し減らすか、毎日はトッピングしないといった対策をとる必要があります。
また、電子レンジや湯銭でフードを温めることによってご飯の匂いを強めることもできます。この場合は、愛犬がやけどしないように、冷ましてから与えるようにしてください。
筋力の低下
筋力が低下すると、食べるときの姿勢を保つのがつらくなってきます。そういう場合に活用してほしいアイテムが、次の3つです。
・食事台
・足マット
・タオルやクッション
食事する台を使うと、床に置くときに比べて頭を下げなくてもよくなり、姿勢を維持しやすくなります。食事台を使うと誤飲・誤食も予防できるので一石二鳥です。
そして、その食事台の下には滑りにくい足マットを置きましょう。そうすることで、踏んばりやすくなります。
自立が難しかったり、体がフラフラしてしまったりする場合には、丸めたタオルや大きめのクッションを体の下に入れて支えてあげるとよいですよ。
食べる力の低下
老犬になるとアゴの力も弱くなってきます。そういう時は、以下の5つの食べさせ方を実践してみてください。
・粒が小さいフードにする
・フードをふやかす
・流動食にする
・食事の補助をする
・手作り食にする
小型犬用やシニア用のフードは粒が小さいものが多いので、それらのフードを変えるのも1つの手です。
一方、フードを変えたくない場合は白湯や犬用のスープでふやかすとよいでしょう。しかし、熱すぎるとフードの栄養価を損なう恐れがあるので注意です。
ふやかしたフードでも食べづらそうなら、ドロドロの流動食にするのもよいでしょう。
食事の補助では、持ち手付きのフードボウルや介護用スプーン、シリンジやドレッシングの容器などを上手に活用してみてください。
また、愛犬の状態に合わせて工夫できる手作り食もおすすめ。最初から全部手作りにするのは大変なので、今までのフードにトッピングすると良いでしょう。
好みの変化
年齢とともに体も変化することで、食の好みが変わることがあります。このときの対処法としては、愛犬の変化した好みに合った食事を与えるということです。
「老犬が好きな食べものって例えばどういうものがあるの?」
と疑問に思った飼い主さんのために、老犬が好む食べものについて紹介しましょう。INUNAVI(いぬなび)が全国のシニア犬の現・元飼い主さん121人を対象に行ったアンケート調査によると、愛犬がシニアになって好きになった食べものとして次のようなものがあげられました。
・ウェットフード
・茹でたササミ
・茹でた野菜
・玉子焼き
・リンゴ
・ヨーグルト
・豆腐
・煮干し
老犬にとっての消化の良い食べ物や必要な栄養素についてはこちらの記事で紹介しています↓↓
この結果からも分かるように、やはり老犬は「香りが強く柔らかい食べものを好む」ようです。これを意識して、愛犬が好む食べものを見つけられるとよいですね。
参照:PRTIMES、シニア犬の飼い主121人にアンケート
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000076.000068228.html
ストレス
人間でも緊張したらご飯がのどを通らないということがあるように、犬も強いストレスを感じるとご飯を食べなくなります。特に老犬は、視覚や嗅覚などの感覚の衰えや身体機能の衰えなどからストレスを感じやすいものです。そのため、以下のようなケアをしましょう。
・愛犬のストレスになっていることをできるだけ取り除く
・一緒に遊ぶ、散歩に行くなどコミュニケーションをとる時間を増やす
・マッサージやホットタオルなどでリラックスしてもらう
・安心して食べられる環境を作る
このとき注意したいのが、必要以上にかまわないようにすること。かまいすぎてしまうと、逆に不安が強くなったり1人の時間が辛くなったりしてしまいます。
病気が原因でご飯を食べないときの対処法
老犬が病気によってご飯を食べなくなる理由として多いのが、内臓疾患と口内トラブルの2つです。これらを改善するにはやはり、病院を受診し、病気を特定してから治療やケアを行うのが1番です。特に病気が原因でご飯を食べなくなる時は、食欲不振以外にも次のような変化が見られることがあるので愛犬の様子をよく観察するようにしましょう。
・下痢
・便秘
・発熱
・水をたくさん飲む
・水を飲まなくなる
・おしっこをたくさんする
・おしっこがなかなか出ない
・元気がない
・よだれをたらしている
・お腹が張る
・咳が出る
・呼吸が荒い
・血尿
・血便
・寝るときの姿勢が変わった
・散歩に行きたがらない
・急激な体重減少
これ以外にも、毎日愛犬と過ごす飼い主さんの「いつもと様子が違う」「どこか様子がおかしい」といった気づきが、病気の早期発見につながることもあります。できるだけ早く動物病院を受診し治療を行うことで、以前のようにご飯を食べられるようにしましょう。
この章では内臓疾患と口内疾患の2つについて、その病気の特徴や治療法、その後のご飯の食べさせ方について解説します。
内臓疾患
人間と同じようにシニアになると内臓の機能が衰え、病気にかかりやすくなるものです。ご飯を食べなくなる症状が現れる病気としては、次のようなものがあります。
・慢性腎臓病
・甲状腺機能低下症
・副甲状腺機能亢進症(クッシング症候群)
・膵炎
・僧帽弁閉鎖不全症
病気が特定されれば、獣医師と協力しながらそれに合わせた治療・ケアを行ってください。その後は、自然と食欲不振が改善する場合が多いでしょう。
口内疾患
口内疾患の代表的なものは歯周病で、老犬の約8割が歯周病にかかっているとも言われています。歯周病によって痛みを感じたり歯がぐらついたりすることで、ご飯を食べなくなるのです。歯周病の場合、歯垢や歯石の除去や抜歯による治療を行います。
歯石の除去には麻酔下で行う場合と無麻酔で行う場合がありますが、歯周ポケットの奥まできれいに掃除するという点からいえば、麻酔下での歯石除去がおすすめ。老犬だから麻酔を使うのが心配という飼い主さんは、獣医師の中でも歯科専門医に相談してみましょう。
特に抜歯をした後は、口に違和感を感じたりうまく噛めなかったりするので、柔らかく食べやすい食事を心がけてみてください。
老化や病気以外でご飯を食べない時の食べさせ方
老犬特有ということではありませんが、上記で紹介した老化や病気以外のことが原因でご飯を食べなくなることもあります。そこで、この章では以下のご飯を食べなくなる3つの理由と食べさせ方について見ていきましょう。
・飼い主さんへの甘え
・フードへの警戒心
・寿命
甘え
老犬になると少しでもご飯を食べなければ心配になって、喜んで食べてくれるおいしいおやつや人間の食べ物を与えてしまった経験がある飼い主さんも多いのではないでしょうか。そうすると、賢い犬は「普段のフードを食べずに待っていれば、もっとおいしいものが食べられる」と学習してしまいます。
この対処法としては、フード以外を与えないということ。与えたフードを食べなくてもいつまでも置いておかずに下げるようにしましょう。お腹がすけば、普段のフードでも食べるようになるものです。
どうしても食べず、飼い主さんが根負けしてしまいそうなときは、フードを変えてみるのもよいでしょう。何種類かストックしておくと、その日の気分でどれか1つは食べてくれるかもしれません。
食事への警戒心
特に繊細な犬は、突然食事を変えると食べなくなることがあります。食事の切り替えは、一気に行うのではなく1週間ほどかけて徐々に行ってください。これは、老犬の内臓への負担を減らすことにもつながります。
また、食事に薬を混ぜたことによって、薬だけでなくご飯自体を食べなくなることも。この場合の対処法としては、食事と薬を分けることです。1度警戒したフードをやめるのもよいでしょう。
寿命
老犬は死期が近づいてくると、ご飯を食べなくなることがあります。さらに、食欲不振以外にも次のような兆候が見られたら、愛犬の寿命が尽きようとしているのかもしれません。
・水を飲まない
・体温調節がうまくできなくなる
・目に力がなくなる
・寝たきりになる
・痙攣が起こる
もっと長生きしてほしいからといって、無理にご飯を食べさせようとすると、愛犬は辛い思いをしたまま天国に行くことになります。そうならないためにも、この場合は無理にご飯を食べさせるのではなく、そばにいて体を撫でてあげましょう。
まとめ:老犬がご飯を食べなくなったらまずは動物病院へ
体が弱っている老犬は、1日ご飯を食べないだけでも衰弱してしまいます。そのため、ご飯を食べなくなったら、まずは動物病院を受診し、その原因を特定することが重要です。
そして、原因が分かったら、その原因に合わせた食べさせ方にすることでご飯を食べてくれるようになるかもしれません。もし原因が分からなくても、ここで紹介した方法を1つ1つ試すうちにご飯を食べるようになることもあるでしょう。
犬にとって食事は健康に過ごすために必須なもの。老犬がいつまでも楽しくご飯を食べられるように工夫していきましょう。
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