老犬の夜泣き(夜鳴き)の原因は?飼い主がすべき対応とは

いぬどし
writer


「最近、愛犬が夜泣きをするようになり困っている。」
「夜泣きするワンちゃん自身の健康に問題ないの?」
「飼い犬が夜中にクーンと鳴いているのはなぜ?」

犬も年齢を重ねるごとに身体や習慣の行動に変化が表れてきます。その変化の代表的なものが、夜泣き(夜鳴き)です。
夜泣きは、飼い主の睡眠不足やストレスを招くだけでなく、近所迷惑になるなど個人の問題では済まなくなる可能性もあります。夜泣きの原因はさまざまですが、主に認知症や病気による痛み、不安や甘えなどが考えられます。飼い主としては、愛犬や周り人のために一刻も早く原因について理解し、適切な対処をしていくべきでしょう。

この記事では、夜泣きする老犬の原因や飼い主が取るべき行動について解説します。夜泣きの原因となるあらゆる可能性を把握しましょう。
場合によっては近くの動物病院や獣医師に相談して、夜泣きの原因となる病気がないかを確認すべきかもしれません。また、この機会に、老犬を取り巻く環境や食事を見直してみるのも良いでしょう。

老犬が夜泣き(夜鳴き)する原因は?


犬のイラスト

犬の夜泣きには、次のようなことが原因として考えられます。
・認知症
・苦痛や痛み
・不安や甘え
・空腹やのどの渇き
・寝床の不快感
・排泄関係

犬の老化によるものもあれば、普段の食生活や環境によるものもあります。それぞれについて詳しく見ていきます。

夜泣きの原因1:認知症


人間と同様に犬にも認知症があります。一般的には「高齢性認知機能不全症候群」と呼ばれます。加齢による脳の変化などが原因で、11歳~15歳頃(早い場合は7歳~8歳頃)から、さまざまな症状があらわれてきます。
夜泣きは認知症による症状の1つです。認知症が原因の夜泣きは、昼間ぐっすり眠っているのに、夜になるとウロウロしながら鳴き続けるパターンが多いようです。認知症の場合、夜泣きのほかにも次のような症状が見られることもあります。
・散歩や家の中で迷子になる
・飼い主のことがわからなくなる
・狭い場所に入り込んで戻ってこれなくなる
・意味もなくグルグル歩きまわる
上記のような症状がある場合には、認知症の可能性が高いといえます。

夜泣きの原因2:病気などによる苦痛や痛み


犬は加齢に伴い、慢性的な痛みを伴う「変形性関節症」や、血行不良による「床ずれ」などを患いやすくなります。このような体の痛みが原因で、犬が夜泣きをすることもあります。

変形性関節症


関節や軟骨が損傷または変形する病気です。
レトリバー種などの大型犬は股関節や肘のトラブルが多く、チワワやトイプードルなどの小型犬は膝にトラブルが見られるケースが多いようです。ただ、関節のトラブルは外傷や加齢、肥満なども原因となるので、すべての犬種で起こり得ます。
変形性関節症は、放っておくと犬が歩くのを嫌がるようになり、運動不足になります。その後、さらに体重が増えてますます関節に負担がかかるという負のスパイラルに陥る可能性もあります。
適度な運動や体重管理、鎮痛剤の服用などの処置により、苦痛を最小限に抑えられます。変形性関節症の進行度合いによっても最善の治療法は異なるため、一度、動物病院に相談するのが良いでしょう。

床ずれ


床ずれは寝たきりの状態が続いている犬に発生しやすい症状です。体重のかかる部分の皮膚が長期にわたって寝具に圧迫されて血行が悪くなり、皮膚表面の組織が壊死することによって起こる症状です。褥瘡(じょくそう)とも呼ばれています。
初期は皮膚が赤くなり、痒みや痛みを伴います。また水ぶくれの様なものができ、破けてジュクジュクした傷になります。症状がすすむと炎症が皮下組織にも至り、骨や関節を壊してしまうこともあります。また、床ずれの傷口から細菌が入り、細菌感染を引き起こす場合もあります。
床ずれは寝床を改善することで、予防することができます。もし、床ずれになってしまった場合は、症状を悪化させないためにもまずは動物病院で診てもらい、適切な治療法を聞くようにしましょう。

夜泣きの原因3:不安や甘え


犬は不安になると夜泣きすることで、飼い主にその気持ちを伝えようとします。特に犬が高齢になると聴覚や視覚が衰え、周囲の状況をうまく理解できないことが増えてきます。今まで当たり前にできていたことができなくなるため、さまざまなことで不安になりがちです。今までは何でもなかった夜の暗闇や孤独感にすら不安を感じることがあるようです。
そこで、飼い主にそばにいて欲しい、気にかけてほしいという寂しさや甘えで、夜泣きをすることがあります。

夜泣きの原因4:空腹やのどの渇き


犬は空腹やのどの渇きを吠えることで飼い主に伝えます。犬の場合は昼間でも夜間でも関係なく要求を飼い主に伝えるのです。
例えば、夜ごはんの時間が早いと、明け方近くに空腹で鳴くことがあります。また体調不良や気温によって、のどの渇きを感じることもあるでしょう。
特に老犬の場合は、からだを起こして自力で水を飲むのが大変な場合もあります。夜中でも吠えることで飼い主に喉の渇きを訴えることがあります。

夜泣きの原因5:寝床の不快感


犬が寝床に不快を感じる要因は主に以下の2つです。
・寒さ
・床の固さ
老犬は寒い環境が苦手です。寝床に隙間風が入ってくる、寝床が窓際にあって冷気でひんやりするなど、寒さを訴えるために夜泣きしている可能性があります。。
また、敷物が薄かったり、床の固さを直接感じるような場所で寝ている場合、寝心地の悪さに夜泣きする可能性があります。
愛犬の寝床が快適であるか一度確認してみましょう。

夜泣きの原因6:排泄関係


人間と同様に、犬もシニア世代になると膀胱の収縮力が低下します。さらに、腎機能が衰えている場合、夜中の排尿回数が増えます。老犬によっては「トイレしたい」と吠えて伝えようとすることがあります。
また、お漏らしをした不快感から夜泣きして飼い主に知らせるケースもあります。

老犬の夜泣き(夜鳴き)に困っている飼い主がやるべきこと


愛犬の夜泣きによって飼い主には身体的にも精神的にも多くの負担がかかります。飼い主は、このストレスがかかる状態をただ我慢するだけでは、飼い主にとっても犬にとっても良いことではありません。
もちろん夜泣きを放置して、自然と改善するようなことはほとんどありません。むしろ、事態は悪化していくことが多いでしょう。何かしら対策を講じる必要があります。
愛犬が夜泣きを始めたら、圧し掛かる負担で気がめいってしまう前に、次のことに注意してみましょう。
・怒らない
・動物病院を受診する
・近所に伝える
・寝床の環境をチェック
・寝心地の確認
・食事や飲水の調整
・排泄のチェック

絶対に叱らない


老犬が吠えてしまっても、叱ったり叩いたりすることはNGです。夜中に鳴かれると誰でもイライラするものですが、一旦冷静に原因を探し出しましょう。叱ったり叩いたりすることは、犬との信頼関係が悪化してしまうだけであり、根本的な問題は解決しません。また、叱られると「構ってもらえる」と錯覚して、ますます夜泣きをすることもあるので注意が必要です。

近くの動物病院を受診する

夜泣きの原因となる体調不良や病気がないか、動物病院で検査してもらいましょう。適切な治療をすることで、夜泣きが収まることもあります。また、プロに相談することが飼い主にとっての安心に繋がることもあります。
一人で悩みこんでしまう前に、まずは動物病院で診てもらうのが良いでしょう。

近所に伝える


夜泣きはご近所とのトラブルに発展する可能性もあります。挨拶をしておくだけでもかなり印象が違ってくるので、隠さずに伝えるべきです。犬を飼ったことのある人であればすぐに理解は得られるでしょう。そうでなくても、「夜中に飼い犬がうるさくなるほど、犬のしつけのできていない飼い主」と「わざわざ挨拶に来てくれる礼儀正しい飼い主」では印象が全然違います。
近所の人に老犬介護の経験者がいることもあるので、思いがけないアドバイスや励ましをもらえる可能性もあります。

寝床の環境を配慮


老犬の寝床の場所が夜中になると冷える、隙間風が入る、蒸し暑いなど、寝床の環境が原因で夜泣きをすることがあります。特に、老犬は寒いのが苦手です。窓際で寝ている場合は、隙間風によって寒い思いをしていないかチェックするとよいでしょう。外の空気が隙間から入ってくる窓際は、老犬にとっては落ち着かない場所なので注意が必要です。
また、不安で夜泣きをしてしまう場合は、飼い主のそばに寝床を移してあげるといいでしょう。

寝心地の確認


寝床の環境を確認したら、寝床そのものもチェックしましょう。マットは快適か、薄すぎて体を痛めていないかなどの確認をしましょう。関節の痛みがある老犬は、固い床が辛いこともあります。苦痛が伴う環境で寝続けることは、床ずれ等の症状を引き起こす原因にもなります。犬はこの苦痛を訴えるために夜泣きしていることもあるのです。
体に負担をかけないためには、高反発マットレスが有効です。動物病院やネットでも購入できるので、愛犬の快眠のために検討してみるのも良いかもしれません。

食事や飲水の調整


明け方近くに空腹で鳴く老犬には、寝る前に何か食べさせてあげましょう。寝る前まで待てずに、夕方に空腹で鳴いてしまう場合は、夕飯を2回に分けて、夕方と寝る前に食べさせるという方法もあります。
また、水を飲むための器や給水器が飲みやすいかどうか、チェックしましょう。からだを動かすだけでも苦痛な老犬は、お水が飲みにくい容器だと自ら飲もうとせず、のどが乾いたら鳴いて訴えることもあります。寝たきりの老犬には、寝る前にシリンジなどでお水を飲ませておくのが良いでしょう。

排泄のチェック


寝る前に排泄のチェックをします。頻繁に漏らしてしまう老犬には、おむつやマナーベルトをつけてあげると安心です。また、膀胱炎などの病気の可能性もあるので、一度獣医師に相談してみましょう。

夜泣きの原因がわからない、耐えられない場合


困る犬のイラスト

上記では、夜泣きの原因と飼い主としてやるべきことについて解説しました。
夜泣きの原因がはっきりわかり、改善策が適切にできれば良いですが、実際には犬も人間と同様にあらゆる要因が複雑に関係しており、単純に問題が解決できるとも限りません。
最後に、夜泣きの原因がわからない場合に、飼い主ができることについてまとめます。

動物病院に相談


さまざまな対策をしても夜泣きが改善しなかったり、徘徊するなどの症状が悪化したりすることもあります。
その場合は、すぐに動物病院の獣医師に相談しましょう。
動物病院で処方されたお薬や睡眠薬、サプリメントによって、症状が改善したという事例も存在します。
また、夜中に鳴いている様子や、うろうろ徘徊している様子は動画に撮っておくと、診察で獣医師が判断する際に便利です。
口頭だけで症状を伝えようとしても言葉で表せないことはたくさんあります。獣医師も限られた情報だけで適切な処置をするのは難しくなります。
自分だけでは気づかない症状を獣医師に見つけてもらうためにも、動画の撮影は役立ちます。

昼間に活動させる


夜泣きする老犬は、昼夜逆転している場合が多くあります。昼間にぐっすり寝てしまう老犬は、昼間はなるべく起こして活動させるようにしましょう。太陽の光に当てることで、夜眠りやすくなるホルモンが分泌されます。
認知症の予防や緩和には、おもちゃを使って一緒に遊ぶ、フードの入ったおもちゃでご飯を食べさせる、こまめに声をかけるなど小さなことから心がけていきましょう。簡単な“おすわり”や“おて”の繰り返しも効果があると言われています。。

犬を預ける


夜泣きが続くと飼い主も心身ともに参ってしまいます。老犬を預かってくれる老犬ホームや動物病院、ペットシッター、ペットホテルを検討することも一つの手段です。
夜泣きを始めとした老犬の介護の負担に飼い主がノイローゼになってしまったら、愛犬も楽しい暮らしを送ることはできません。「もうどうしようもなく耐えられない!」と思ったら、一時的にでも老犬の介護の負担から距離を置いたほうが良いでしょう。気持ちをリフレッシュでき、現状を冷静に判断することができます。場合によっては、長期的に愛犬を手放すことがお互いにとって幸せだという結論に至ることもあるでしょう。
飼い主が負担が重くなり、正常な判断ができなくなる前に、どんな選択肢がとれるか把握しておきましょう。

まとめ:老犬の夜泣き(夜鳴き)の原因を理解し、適切な対応を!


老犬の夜泣きは飼い主の寝不足を招くだけでなく、近所迷惑にもなり、飼い主にとって大きなストレスになります。老犬の夜泣きには、認知症などの病気が原因のこともあり、放っておくと悪化することもあるので、まずは動物病院を受診しましょう。
また、夜泣きの原因を考えるにあたって、愛犬の寝床の環境や生活全般を見直してみましょう。愛犬の寝床が快適か、空腹ではないかなどを確認すると同時に、昼間は日光に当てる、なるべく起こして活動させることも大切です。