昨日まで元気だった愛犬が、突然ブルブル震えていたら驚いてしまいますよね?
「大変な病気だったらどうしよう」
「すぐに動物病院に行った方が良いのかな」
と不安に思う飼い主さんも多いことでしょう。
そこでこの記事では、以下のことについて解説します。
・老犬が震える原因
・震えている老犬を見かけたときに飼い主がとるべき行動
・老犬の震えを予防する方法
愛犬が震えることが増えたと感じている飼い主さんは、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
老犬が震える3つの原因
老犬が震える原因は、大きく分けて次の3つに分類できます。
・病気に関連するもの
・精神的なもの
・生理的なもの
精神的なものや生理的なものによる震えであれば、飼い主さん自身が適切に対処することで震えを止められる場合が多く、それほど心配はいらないでしょう。ただし、病気に関連するものによる震えであれば、動物病院での早急な治療が必要なケースもあります。
次の章から、それぞれ詳しく解説していきますね。
病気に関連するものによる震え
飼い主さん自身で正確な判断をするのが最も難しいのが、病気に関連するものよる震えです。
この章では、6つの原因について具体的に解説します。
痛み
老犬は、以下のものが原因で痛みを感じると、震えることがあります。
・ケガ
・椎間板ヘルニアや膝蓋骨脱臼などの関節系の病気
・膵炎や急性胃腸炎などの消化器系の病気
痛みを伴う病気はいくつかありますが、特に老犬は椎間板ヘルニアになりやすいので注意が必要です。発症すると震え以外に、散歩に行きたがらない、触られるのを嫌がるといった症状が見られます。
椎間板ヘルニアは、胴の長いミニチュア・ダックスフントやウェルシュ・コーギーなどで発症しやすいので注意してください。発症した場合は、獣医師の指導のもと、関節に負担をかけない環境づくりと適正な体重管理を心がけましょう。
痙攣
以下の病気になると、痙攣発作で体が震えます。
・てんかん
・慢性腎不全
・肝硬変
痙攣を引き起こす病気はいくつかありますが、特に老犬は慢性腎不全になりやすいので注意が必要です。発症すると、震え以外に体温低下や意識障害などの症状が見られます。
慢性腎不全は、遺伝的にブル・テリアやイングリッシュ・コッカー・スパニエルがなりやすいとされているので注意してください。発症すれば完治は難しいため、早期発見・早期治療を心がけましょう。
内分泌系の病気
以下の病気になると、ホルモンの異常によって体のシステムがうまく機能せず、体の震えを引き起こします。
・甲状腺機能低下症
・副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
・副腎皮質機能低下症(アジソン病)
この病気のなかでも、特に老犬は副腎皮質機能亢進症になりやすいので注意が必要です。発症すると、震え以外に多飲多尿や脱毛などの症状が見られます。
副腎皮質機能亢進症は、プードルやミニチュア・ダックスフントがなりやすいとされているので注意してください。発症すれば長期にわたる治療が必要なため、早期発見を心がけましょう。
代謝性の病気
以下の病気になると、代謝に関わる臓器の異常により、体の震えを引き起こします。
・低血糖症
・糖尿病
・高カリウム血症
特に食事を食べられていない老犬やインスリン治療中の老犬は、低血糖になりやすいので注意が必要です。低血糖になると、震え以外に嘔吐や舌が白くなるといった症状が見られます。
応急処置として、砂糖水やガムシロップを舐めさせる方法があります。それによって震えが治まる場合もありますが、治まった後でも獣医師に診てもらった方が安心です。
特発性振戦症候群
特発性振戦症候群は、以前マルチーズやウェスト・ハイランド・ホワイト・テリアのような小型犬の中でも白い犬でよく見られていました。そのため、ホワイト・ドッグ・シェイカー・シンドロームとも呼ばれています。
しかし、近年では白色以外の犬でも発症するという報告があります。発症すると、震え以外にぎこちない歩き方や眼振などの症状が現れます。治療法はまだはっきりしておらず、薬を飲み続けなければならない場合もあるようです。
中毒や薬の副作用
老犬が以下のような中毒を引き起こすものを食べたとき、体が震えることがあります。
・保冷剤
・ゴキブリ駆除剤
・キシリトールガム
・たばこ
さらに、人間用の薬はもちろん、動物病院で処方された薬であっても副作用として、震えが引き起こされる場合があります。拾い食いのクセがある老犬は、特に注意してください。
誤食してから時間がたっていなければ、吐かせることも可能です。愛犬が誤食したときは、できるだけ早く動物病院に行くようにしましょう。
精神的なものによる震え
老犬は、年をとるとともにストレスを感じやすくなります。その精神的ストレスが、震えにつながる場合があるのです。
この章では、考えられる3つの原因について解説します。
感覚器の衰え
老犬は、視力や聴力などが衰えることで不安や恐怖を感じやすくなります。
例えば、私たち人間でも暗い夜道は、怖くて震えてしまうこともあるでしょう。老犬であれば、視力の低下に伴って、今まで問題なくできていたトリミングを嫌がるようになることがあるかもしれません。
大きな音や環境の変化
老犬は、大きな音や環境の変化でストレスを感じる場合があります。犬は、どうして大きな音がするのか、どうして環境を変える必要があるのかを理解できません。理解できないものに対して、不安や恐怖を感じるのは当然です。
例えば、雷や花火の音が聞こえると、自分が安心できる場所でブルブル震える犬もいます。また、ペットホテルに預けられたり、引っ越しをしたりして環境が変わることで、不安や恐怖を感じて震える犬もいるのです。
興奮や経験
老犬に比べると若い犬で見られることが多いですが、興奮や経験によっても犬が震えることがあります。
例えば、散歩中に大好きな猫に会って興奮して震えたり、以前震えたときに優しくしてくれた経験があると、飼い主さんの気を引くために震えたりする犬もいます。この場合、興奮する対象が見えなくなったときや飼い主さんが見ていないときは、震えが止まるのが特徴です。
生理的なものによる震え
生理的なものによる震えは、体の自然な反応です。
この章では、考えられる3つの原因について詳しく解説します。
寒さ
老犬の震えの原因として、真っ先に思いつくのは寒さではないでしょうか?特に老犬は、筋肉量が減り、体温調節機能が低下するので寒さを感じやすくなります。犬だけで留守番させる際も寒くならないように、暖房をつけたままにしたり、寝床に毛布を用意したりしましょう。
散歩の際は、服を着せることもおすすめです。特に寒がりのチワワやイタリアン・グレイハウンドは、寒さ対策をしっかりしましょう。
老化による筋力の低下
年をとると筋力が低下し、手足に力を入れにくくなった状態で体を支えようとして震えることがあります。排便中や食事中に踏んばっているとき、立って止まっているときに、よく見られるでしょう。
最期が近い
老犬は、亡くなる間際になると痙攣発作で震えることがあります。手足をばたつかせて苦しそうに見えるかもしれませんが、すでに犬の意識はないと言われているので、その点については不安に思わなくても良いでしょう。
老犬が震えているのを見つけたら飼い主がとるべき3つの行動
上記では、老犬が震える原因について解説しました。しかし、飼い主さんが正確な原因を特定するのは難しい場合もあります。そのため、愛犬の震えが止まらないときは、できるだけ早く動物病院を受診してください。
この章では、動物病院に連れて行く前に飼い主さんがとるべき3つの行動について解説します。
震え以外の症状がないかチェック
震え以外の症状が見られたら、より危険な状態です。特に次のような症状が見られたら、夜間であっても救急動物病院を利用した方が良いでしょう。
・病気の治療中である
・長時間震え続けている
・意識がない
状況をメモ
獣医師に正確な診断をしてもらうには、正確な情報が必要です。病院についたときには震え方が変わっていたり、止まっていたりするケースもあるので、愛犬の状況をメモしておくことをおすすめします。具体的には、以下の項目に注意してメモしましょう。
・いつから震えているか
・どのくらい震えが続いているか
・どの部分が震えているか
ちなみに、誤食が疑われる場合は、誤食したと考えられるものと同じものを持っていくと良いでしょう。
動画を撮る
獣医師に正確な情報を伝えるという点では、動画を撮っておくこともおすすめです。ただ、動画を撮っているだけでは状況は改善しないので、ある程度で切り上げて動物病院を受診してください。自分の他に運転手がいる場合は、移動中も動画を撮っておくと良いかもしれません。
老犬の震えを予防する方法
これまで、老犬が震える原因とそのときの対処法について解説しましたが、愛犬の震えはできれば予防したいですよね?
そこでこの章では、老犬の震えを予防する方法について解説します。
病気に関連するものによる震えの予防
震えの症状が現れる病気はさまざまです。そのため、病気に関連するものによる震えを予防するには、それぞれの病気を予防する必要があります。
とはいえ、病気によっては予防が難しいものもあるため、病気の早期発見を心がけてください。
具体的には、日ごろから愛犬をよく観察すること。年をとるごとに変化していきますが、普段の愛犬の様子を把握しておくことで、ちょっとした異変でもすぐに気づくことができます。より正確に愛犬の状態を把握できる、定期的な健康診断もおすすめです。
精神的なものによる震えの予防
精神的なものによる震えは、主に不安や恐怖が原因です。そのため、愛犬が不安や恐怖を感じる状況を作り出さないことが、1番の予防になります。
とはいえ、環境を変えると良くないから引っ越しをしないというわけにもいきませんし、雷を怖がっているからといって雷を止めることはできません。愛犬が不安や恐怖を感じているときは、安心感を与える工夫をしましょう。
引っ越しをした場合は、愛犬のケージはそのままで、お気に入りのベッドやトイレなどの配置もできるだけ変えないことをおすすめします。雷や花火などの大きな音が苦手であれば、聞こえないように窓を閉めたり、サンダーシャツを利用したりすると良いでしょう。
生理的なものによる震えの予防
生理的なものによる震えを予防するには、適度な運動が1番です。「年をとって歩くのが大変そうだから」という理由で、散歩させないのはかえってよくありません。
運動をすれば筋力を維持できるだけでなく、体温の上昇、脳や胃腸を刺激するなどの効果も期待できます。痛みが無ければ、できる範囲で運動させましょう。
ただし、亡くなる前の震えに関しては予防できません。現実を受け止め、静かに見守りましょう。
まとめ:老犬が震えていたらまずは動物病院へ
この記事では、老犬が震える原因を紹介したうえで、飼い主がとるべき行動や老犬の震えを予防する方法について解説しました。
この記事の、ポイントをおさらいすると以下の通りです。
・老犬が震える原因は、病気に関連するもの・精神的なもの・生理的なもの
・震えている老犬を見かけたら、正確に状況を把握し動物病院へ
・老犬の震えを予防する方法は、観察・ストレス軽減・適度な運動
老犬が震える原因はさまざまで、心配いらない場合もありますが、早急な対応が必要なケースもあります。老犬の震えを飼い主さんが判断するのはリスクが大きいため、まずは動物病院を受診してください。
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