「最近、飼い犬のトイレの頻度が高くなってきた」
「頻繁に粗相するようになって困っている」
など、歳を重ねるにつれて愛犬のトイレの回数が増えてきて困っていませんか?
老犬になるとトイレの回数が増えるというのは、いわゆる老化現象の一つ。腎臓や、他の器官が弱くなり、膀胱におしっこを溜めておけなくなることが原因です。また、老化だけでなく病気が原因となっている可能性も十分考えられます。
この記事では、老犬のトイレの回数が増える原因と、老犬が粗相してしまった場合の対処法やしつけ方法もご紹介していきます。飼い主と飼い犬がともに気持ちよく過ごせるよう、原因をしっかり把握したうえで対処していきましょう。
老犬のトイレの回数が増える原因は?
一般的に10歳を超えた老犬になると、トイレの回数は多少増えます。
子犬:7〜10回/1日 成犬:3〜4回/1日 老犬:5〜6回/1日
成犬よりも老犬のトイレの回数が増える原因としては、次のことが考えられます。
・腎機能の低下
・筋肉の衰え
・病気
老化だけでなく、病気の可能性もあるため注意が必要です。ここからは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
老犬のトイレの回数が増える原因1:腎機能の低下
老犬になると腎機能が低下し、おしっこを濃縮する機能がうまく働かなくなることがあります。そのため、尿の量が増えて、トイレの回数が増えたり、おもらしをすることがあります。
老犬のトイレの回数が増える原因2:筋肉の衰え
老化現象により足腰の筋力が低下すると、老犬は自分の力で踏ん張れなくなることがあります。さらに、筋力というのは足腰だけなく、膀胱や尿道の筋力のことも指しており、膀胱の筋力が弱くなると、おしっこを溜めておくことが難しくなります。そのため、少しの量で排尿したくなるので頻繁にトイレに行ってしまうのです。しかし、トイレにたどり着くまで弱った足腰で歩くので、トイレに行きつく前に漏らしてしまう事も増えてきます。
老犬のトイレの回数が増える原因3:病気
老犬のトイレの回数が増える原因が老化現象ならまだいいですが、病気だった場合は迅速な対応が必要となります。トイレの回数が増えてきたなと感じたら、一度動物病院で検診してもらうことをオススメします。
トイレの回数が増えた原因が病気だった場合
老犬のトイレの回数が増えた原因が病気である場合、どうしたらいいのでしょうか。まずは、獣医師の話をよく聞き、治療が必要な場合は早めに対処しましょう。以下の6つが、考えられる主な病気です。
・前立腺肥大
・膀胱炎
・結石
・慢性腎不全
・糖尿病
・クッシング症候群
ここからは、病気の兆候や特徴など、詳しく見ていきましょう。
考えられる病気1:前立腺肥大
前立腺肥大は、特にホルモンバランスの崩れによって発症しやすい病気とされています。歳を重ねていくと、老化現象のひとつとしてホルモンのバランスが崩れやすくなるのです。特に、去勢手術をしていないオス犬に発見されることが多いと言われています。前立腺が肥大化すると、その周りの神経を圧迫してしまうので、血尿や尿漏れになりやすくなります。この病気の予防方法は、去勢手術が有効でしょう。
考えられる病気2:膀胱炎
犬も、人間と同じく膀胱炎になります。特に起こりやすい原因は細菌の感染で、特にメス犬に多くみられる病気です。人間も膀胱炎は女性がなりやすい病気だと言われていますが、犬の場合は尿道がオス犬に比べて太くて短く、細菌が膀胱に侵入しやすいためです。飼い犬のトイレの回数が増えた際、尿の濁り方や臭いがいつもと違うように感じた場合、膀胱炎を疑いましょう。また、膀胱炎に関しては、全く尿が出なくなる可能性もあります。
考えられる病気3:結石
結石は膀胱にできる場合と、尿路にできる場合があります。
膀胱結石は、膀胱に結石ができる病気で、一度に出すおしっこの量が減り、その分回数が増えます。尿に含まれる化学物質のシュウ酸カルシウム・リン酸カルシウムなどが結晶化することで発症しますが、膀胱内の小さな石が尿道を塞ぐこともあり、尿道閉塞という違う症状が出る危険性もあります。
また、尿路結石の場合は、膀胱に溜まったおしっこが外に出るまでの通り道に結石ができる病気です。おしっこの通り道に結石ができるため、「一度に出るおしっこの量が減る」、「おしっこしたいのに出せない」といった症状がみられます。
考えられる病気4:慢性腎不全
慢性腎不全は、尿をろ過するネフロンがゆっくりと壊れていく病気で、偏った食生活や老化が原因で発症します。腎臓の機能が低下するため多飲多尿になり、尿の量・回数が増加します。おしっこの量・回数が増えるのは初期症状で、進行していくと食欲がなくなったり毛の艶がなくなるなど、様々な症状がみられるようになります。
考えられる病気5:糖尿病
糖尿病は、血中の糖を吸収する役割があるインスリンの働きが悪化することで、血糖値が高くなる病気です。糖尿病を発症すると、体内の糖度を下げるために水をたくさん摂取するようになるため、おしっこの量や回数が増加します。
考えられる病気6:クッシング症候群
クッシング症候群とは、腎臓のそばにある副腎から分泌される「コルチゾール」というホルモンが出すぎて、体に悪影響を与えている状態をいいます。 犬でよくみられるホルモン異常の病気ですが、症状が進行すると免疫力が低下し、皮膚炎や膀胱炎などにかかりやすくなったり、糖尿病などの病気を併発したりするので注意が必要です。
老犬が粗相をしてしまったら
老犬になると膀胱の筋力の低下や病気などにより、尿を長時間貯めておくことができなくなります。そのため、飼い主は愛犬の排泄を手伝うことも必要になってきます。飼い主さんの負担を減らすためにも、早いうちに室外だけでなく室内でも排泄できるようにトレーニングすることをオススメします。
ここからは、とるべき対策やしつけの際に注意すべきことをご紹介していきます。
老犬の粗相、どんな対策をするべき?
決まった時間にオシッコをする老犬の場合、飼い主がタイミングを見計らって先にトイレへ連れて行けるといいですが、それ以外の場合は飼い主自身が困らないよう対策をしておく必要があります。主な対策方法として以下の3つが挙げられます。
・散歩の回数を増やす
・トイレのしつけをする
・オムツの用意
具体的にどのようなことをすればいいのか、ひとつずつ見ていきましょう。
対策1:散歩の回数を増やす
おしっこは外派、外でしかおしっこしない犬は結構多いようです。その場合、トイレの回数も増えてくるので、できる限り散歩の時間の感覚を短くしてあげましょう。そして、散歩の回数自体を増やしてあげることも必要でしょう。この先、体の具合が悪くて散歩に出られない時が増えるかもしれません。老犬に限らず、そんなときのためにも室内トイレにも変更できる対策を考えておきましょう。
対策2:トイレのしつけをする
ここでは、普段外で排泄をしている場合と、室内で排泄をしている場合と分けてご紹介します。
・室外で排泄していた場合
室外で排泄習慣のある犬には、排泄のたびに外に連れて行く飼い主の負担を減らすため、室内排泄への移行トレーニングをオススメします。
まずは愛犬の2~3倍の大きさのトイレトレーを購入し、室内やベランダの一定の場所に設置します。そしてトイレトレーに市販のペットシーツを敷き詰めます。
愛犬が排泄をしそうな素振りを見せたら、設置したトイレに連れて行きます。排泄ができたら大げさに褒めて、おやつやおもちゃなどのご褒美をあげるのもいいでしょう。愛犬がうまく室内で排泄できるようになるまで、根気強く何度も繰り返すことが大切です。
・室内で排泄していた場合
室内で排泄をする習慣の犬でも、歳を重ねるにつれ「筋力の低下で排泄の我慢ができなくなる」「足腰が弱ってトイレの場所まで間に合わなくなる」「病気が原因で排泄を失敗する」といったことが起きます。
愛犬のトイレの失敗をなくすために、
・トイレのスペースを広くする
・出入りしやすいトイレトレーを選ぶ
・トイレの場所を犬が普段居る場所の近くに設置する
・トイレを複数箇所に設置する
などといった工夫をして、トイレの環境を見直してみるのもいいかもしれません。
対策3:オムツの用意
粗相がひどくなり、どうしてもコントロールが難しくなってきたら、犬用のおむつでの対策も必要になってくるでしょう。犬の体格によっては、人間の赤ちゃん用のおむつの方がピッタリと使いやすいこともあります。人間用のおむつを使うときは、尻尾を出す部分を切ってあげる必要があります。犬用のおむつのちょうどいいものがない時など、試してみるのもいいかもしれません。
愛犬が粗相してしまった時のしつけで注意することは?
どれだけトレーニングをして、愛犬を注意深く見ていたとしても、粗相してしまう時もあるでしょう。愛犬にしつけをする際に、飼い主が注意すべき点は以下の2つです。
注意すること1:叱らない
愛犬がトイレの失敗をした場合、叱らずにしつけをすることをおすすめします。
愛犬はトイレを失敗した時に叱られると、トイレしたこと自体を叱られたと勘違いしてしまう可能性があります。そうなると、飼い主の前ではトイレをせず、隠れてトイレをするようになってしまいます。これが再びトイレの失敗に繋がります。
注意すること2:その場でしつける
愛犬がトイレの失敗をした場合、すぐその場でしつけをすることをおすすめします。
中途半端に時間が経ってからしつけられても、何が悪かったのかが理解できず、混乱してしまうかもしれません。
まとめ:老犬のトイレの回数が増えたら
老犬のトイレの回数が増えてくることは老化現象として仕方ないことではあるので、飼い主としてしつけやトレーニングなどできることは継続しながら、まずは愛犬に寄り添ってあげることが重要です。しかし、病気が原因の場合は、早急な対応が求められます。手遅れになる前に、愛犬のトイレの回数が少しでも増えたなと感じたら、一度近くの動物病院で診てもらいましょう。
また、汚したくないものは遠くに置いておく、総司のしやすい素材の床にするなど、愛犬が粗相してしまった時の対策も考えておくとなお良いでしょう。
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