老犬の水飲みすぎが心配?考えられる原因と対策、注意点を解説!

いぬどし
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あなたは、愛犬が1日どのくらいの水を飲んでいるか知っていますか?

この問いに対して、自信をもって答えられる飼い主さんは多くないでしょう。

しかし、愛犬の飲水量を知っておくことは水の飲みすぎの症状の裏に隠れた病気の早期発見・早期治療にもつながります。特に、水を飲む量が減る傾向にある老犬が水を飲みすぎている場合は注意が必要です。

 

この記事では、犬の飲水量の目安や測り方を紹介した上で、水の飲みすぎの症状から考えられる原因と対策を解説。さらに、老犬の水の飲みすぎにおいて飼い主さんが注意するべきこともまとめています。

これらをチェックして、病気のサインかもしれない水の飲みすぎという症状を見逃さないようにしましょう。

 

老犬の異常な飲水に気づくポイント   

老犬の異常な飲水に気づくポイントは以下の3つです。

・犬の正常な飲水量の目安を知っておく

・愛犬の1日の飲水量を測る

・飲水量を測るのが難しい場合はおしっこをチェックする

 

水を飲む量が減りがちな老犬の異常な飲水は、心身の不調のサイン。なかには、対応が遅れると亡くなってしまう病気の可能性もあるので、飼い主がいち早くそのサインに気づくことが重要です。

 

犬の正常な飲水量の目安  

「水を飲みすぎている」といっても、具体的にはどのくらいが正常で、どのくらいが異常なのでしょうか?

犬の飲水量に関しては諸説ありますが、だいたい体重1kgあたり50~60mlが正常な1日の飲水量の目安とされています。

逆に、体重1kgあたり100ml以上飲む場合には異常と考えられるのです。つまり、体重5kgの犬が1日500ml以上、体重10kgの犬が1日1000ml以上の水分をとっている場合は異常とされます。

 

飲水量の測り方

あなたの愛犬はお皿で水を飲んでいますか?

それとも、ペットボトルに水を入れるタイプの給水機から飲んでいますか?

犬の飲水量の測り方は、上記のような水の与え方の違いによって異なります。

まずお皿で水を与える場合は、水の量を測ってからお皿に入れ、水を取り替えるタイミングでもともとお皿に入れた水から残った水の量を引くことで、犬が飲んだ水の量を割り出しましょう。

 

次は、ペットボトルを使うタイプの給水機で測定する方法です。例えば500mlのペットボトルの場合、最初だけ計量カップで500ml測り、給水機にセットした時点の水の高さをペットボトルに書き込みます。その後、水を取り替えるタイミングで残りの水の高さに印をつけるようにするという方法です。この方法だと毎回量を測らなくても、水の高さで普段の飲水量と比較できるメリットがあります。

また、飲水量を測る時は、朝8時から翌日の8時までというように時間を決めて行い、お皿やペットボトルが空になることがないように注意してください。さらに、1日だけ測定するのではなく1週間などある程度長い期間測定し、そこから平均値を出すと、より正確な飲水量を把握する事ができます。

 

飲水量を測るのが難しい場合にチェックすること

上記で飲水量の測り方を解説しましたが、次のような理由で飲水量を測るのが難しい場合もあるでしょう。

・自動給水機を使っている

・多頭飼いのため1頭が飲んだ量が分からない

・水を飲むときによくこぼす

 

 

そんな時は、正確な飲水量は測定できないとしても、水の飲みすぎが疑われるおしっこの様子が観察されることで、異常な飲水に気づくこともできます。

水の飲みすぎが疑われるのは、次のような状態です。

・横になっているときにお漏らしをする

・おしっこをする時間がいつもと比べて長い

・おしっこの回数が普段より多い

・おしっこの色が薄い

・ペットシーツのおしっこの広がりが今までより大きい

 

特にお漏らしの場合は、「老犬になって筋肉が衰えたからかな」と考える飼い主さんもいるかもしれません。しかし、それが何日も続く場合や水をたくさん飲んでいる様子が見られた場合には、動物病院を受診することをおすすめします。

 

老犬の水飲みすぎで考えられる原因と対策  

私たち人間に置き換えて考えた場合、水を飲みすぎてしまうのはどんなときでしょうか?それは、運動後だったり空気が乾燥していてのどが渇いたからだったりするかもしれません。

犬も同様に水を飲みすぎてしまうのには様々な原因があります。そこでこの章では、老犬が水を飲み過ぎてしまう原因と対策について見ていきましょう。

 

体の脱水

長時間の運動後や暑い日の散歩後などに暑くなると、犬は体温を下げるためにハァハァという呼吸(パンディング)をします。パンディングでは、口の中の水分を蒸発させることで体温を下げるため、体内の水分はどんどん減っていきます。そのため、体内の水分量を保つために水を飲む量が増えるのです。

特に、体温調節機能が衰えた老犬にとっては次のような対策はかかせません。

・運動させ過ぎないようにする

・涼しくなってから散歩に行く

・クールベストなどを利用する

・散歩の途中でこまめに水を与える

など

 

ちなみに、この対策は熱中症を予防する事にもつながるので愛犬の様子を見ながら実践してみてください。

 

食事(誤食)

ある研究では、犬に水分含量73%の缶詰フードを与えた場合、必要な水分の38%しか飲水で補給しなかったのに対し、水分含量7%のドライフードを与えた場合は95%以上を飲水から補給したことが報告されています。

この結果から、水分量の多い食事から水分量の少ない食事に切り替えた場合に、水をたくさん飲んで体に必要な水分を確保しようとすることが予想できるでしょう。

さらに、塩分の多い食事を与えた場合でも同様に水を飲む量が増えます。例えば、塩分の多い人間の食べ物を誤食したときなどに、のどが渇いて水を飲みすぎる症状が見られるのです。

この対策としてはやはり、誤食させないようにすること。料理中に食材が落ちる可能性があるキッチンには入れないようにしたり、人間が食事する際にはケージに入ってもらったりすると誤食を予防できるでしょう。

 

参照:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan1998/2/2/2_70/_pdf

  

ストレス

飼い主さんとのコミュニケーション不足や運動不足、環境の変化などのストレスによっても水を飲む量が増えることがあります。中には、飼い主さんの気を引こうとして水をたくさん飲む犬もいるようです。

老犬になると、今までできていたことができなくなったり、体の衰えから不安になりやすかったりするので、愛犬がストレスサインを出していないか観察してみてください。そして、ストレスの原因になっているものをできるだけ取り除くようにしましょう。

  

皮膚炎の治療や皮膚の痒み止めなどとして使うステロイド剤や、心不全の治療に使う利尿剤はおしっこの量を増やす作用があります。その結果、飲み水の量も増えるのです。

利尿作用がある薬はこの他にもありますが、治療のために服用している薬はなかなか止められないですよね?そんな時は、かかりつけの獣医師に相談しましょう。量や頻度を減らすことができるかもしれません。

 

老犬の水飲みすぎの症状から考えられる病気

老犬の異常な飲水の原因として、上記の4つ以外に用心したいのが病気によるものです。この章では、特に老犬がかかりやすい以下の4つの疾患を解説します。

 

糖尿病

糖尿病とは、血糖値を低下させるインスリンというホルモンの分泌量が減ったり、効きが悪くなったりすることによって血糖値が上がってしまう病気です。

糖尿病になると血液中の糖の量が増えるため、それを薄めようとして細胞内の水分が血液中に移行します。それから、腎臓で血液中の水分を排出しようとするので多尿になり、体内の水分を補給しようとして多飲になるのです。

水をたくさん飲む以外の糖尿病の症状には以下のようなものがあります。

・食欲が増える(初期)

・体重が減る

・食欲が低下する

・元気がなくなる

・嘔吐

・下痢

など

 

糖尿病になると白内障などの合併症のリスクも高くなるので注意が必要です。また、肥満との関連も示唆されているため、老犬の体重管理をしっかり行いましょう。

  

慢性腎臓病

慢性腎臓病とは、加齢とともに徐々に腎臓の機能が低下してしまう病気です。慢性腎臓病になると体に必要な水分までも排出してしまうので、吸収されなかった水分を補おうとして水をたくさん飲むようになります。

水をたくさん飲む以外の慢性腎臓病の症状には以下のようなものがあります。

・体重が減る

・薄い色の尿をたくさんするようになる

・食欲が低下する

・嘔吐

・下痢

・便秘気味になる

・元気がなくなり、じっとすることが増える

・口臭がする

・口内炎がある

・毛のツヤがなくなる

・痙攣

など

 

慢性腎臓病の初期では症状が現れないことが多く、腎臓の機能が半分以上も失われてから目に見える症状が出てきます。失われた機能を元の健康な状態まで回復させるのは不可能なので、病気の早期発見・早期治療を心がけましょう。

 

副腎皮質機能亢進症

副腎皮質機能亢進症とはクッシング症候群とも呼ばれ、体内の水分を維持するホルモンやインスリンの働きを阻害するコルチゾールというホルモンが過剰に分泌される病気です。

水をたくさん飲む以外の副腎皮質機能亢進症の症状には以下のようなものがあります。

・食欲が増える

・お腹が膨れる

・筋力が低下する

・かゆみがない左右対称の脱毛

・皮膚が薄くなる

・皮膚の色素沈着

・呼吸が荒い

など

 

8歳以上の中高齢のメス犬がかかりやすいとされていますが、長期間ステロイド剤を使用する事でも同じような症状が起きることがあるので注意が必要です。

  

子宮蓄膿症

子宮蓄膿症とは、細菌感染によって子宮の内部に膿がたまる病気です。若くても発症することはありますが、主に子供を産んだことのない、もしくは最後に子供を産んでから期間があいている未避妊の高齢犬がかかりやすいとされています。

水をたくさん飲む以外の子宮蓄膿症の症状には以下のようなものがあります。

・元気がない

・発熱

・食欲が低下する

・嘔吐

・下痢

・お腹が張っている 

・陰部から膿が出ている

・陰部を気にしてなめている

など

 

子宮蓄膿症は、治療が遅れると子宮が破裂したり、全身に炎症が起きることで多臓器不全になったりして死に至ることもある怖い病気です。しかし、この病気は避妊手術を受けることで予防できます。愛犬の未来の健康のためにも、若いうちに避妊手術をしておくとよいかもしれませんね。

 

老犬の水飲みすぎにおいて飼い主が注意すること  

ここでは、水を飲みすぎる犬に対して飼い主さんが知らないと愛犬を命の危険にさらしてしまうかもしれない重要な知識を紹介します。

 

制限   

この記事を読んで、ストレスや病気が原因で水を飲みすぎてしまうから、水の飲みすぎは悪いことだと考えた飼い主さんもいるのではないでしょうか?

そのため、愛犬が水をたくさん飲むのを無理やり止めたり、わざと給水皿に入れる水の量を減らしたりする飼い主さんもいるかもしれません。しかし、このように水を飲む行為を制限するのは絶対にやめましょう。

病気が原因で水を飲む量が増えている場合、水の量を減らしてしまうと、脱水症状に陥ったり病気を悪化させたりする危険があります。

 

水中毒  

先ほど、絶対に水を制限してはいけないと解説しましたが、犬が知らず知らずのうちに水を飲みすぎてしまうことで体に悪影響を及ぼし、最悪の場合は死に至る水中毒については例外的に水の飲みすぎを防止する必要があります。

水中毒とは、別名低ナトリウム血症とも呼ばれ、短時間にたくさんの水を飲むことで体内の塩分濃度のバランスが崩れることで起こるものです。水中毒になってしまうと神経や筋肉などの様々な細胞の働きが正常に動かなくなります。

症状としては次のようなものがあります。

・歩行困難やふらつき

・お腹が膨れる

・嘔吐

・痙攣や麻痺

・大量のよだれ

・意識障害からの昏睡

など

 

水中毒を引き起こす1番の原因は水遊びです。川やプールなどで泳ぐのが大好きな犬は、泳いでいるうちに知らず知らずのうちに大量に水を飲んでいることがあります。特に、水の中のおもちゃを取りに潜ったり、何かをくわえながら泳いだりすると、さらに水を飲む可能性が高まるでしょう。

水中毒の対策としては、長時間水遊びをさせないことと犬用の経口補水液を与えることが有効です。

また、水中毒の原因が分かると、「低ナトリウム血症にならないように、海で遊べば良いのではないか」と思われる飼い主さんもいるかもしれません。確かに、海水には塩分が含まれていますが、逆に短時間に大量の海水を飲むことで、高ナトリウム血症になることもあるので注意が必要です。

 

まとめ:水の飲み過ぎが気になる老犬はすぐに動物病院へ

なかなか水を飲んでくれないことに悩んでいた老犬が、ある日水をたくさん飲むようになれば嬉しく思うかもしれません。しかしこの記事を読んで、それはストレスや病気のサインかもしれないということが分かったかと思います。

なので、まずは老犬の飲水量が増えたと感じた場合、そのほかの症状が見られなければ、老犬の1日の摂取量を把握するところから始めてみましょう。また、老犬が水を飲みすぎていると判断した場合は、その後の様子を良く観察し、少しでもおかしな変化があればできるだけ早く動物病院を受診することをおすすめします。