「最近、飼い犬のトイレの回数が増えた」「トイレが近くなった」「水を飲む量が急激に増えた」
など、愛犬の頻尿に悩んでいる飼い主さんもいらっしゃるのでは?歳を重ねるごとに、臓器の機能も低下してくるので、頻尿はしかたない場合もありますが、病気の予兆である可能性も否めません。
ここからは、どの程度から頻尿とみなせばいいのかという基準や、多飲多尿から考えられる病気などについて詳しく解説していきます。
目次
犬の頻尿って、どんな症状なの?
歳を重ねるにつれて、頻尿というワードをよく聞くようになるかと思います。
基本的には、「おしっこの間隔が短くなる」「1日のおしっこの回数が増える」という症状のことです。
排尿の回数が増えるため、1度でのおしっこの量が減ったり、おしっこしたいけど出ないという状況が起こり得ます。おしっこのポーズをしているのに、尿が出ていない時は頻尿の可能性も充分あります。
多飲多尿の判断基準とは?
多飲と判断される犬の飲水量
ワンちゃんの飲水量が1日で体重1キロあたり90~100ml以上の場合はで多飲と言えるでしょう。夏に激しい運動をする、あるいは、短頭種のような呼吸が激しい犬種だと、一時的にその程度の飲水をすることもあるため、この状態が持続しているか否かがポイントです。
多尿と判断される犬の尿量
尿量は、1日で犬の体重1キロあたり50mlを超えると多尿といえるでしょう。尿量が増えるということは、もちろんおしっこをする回数も増えることになります。
多飲多尿は様々な病気の症状として確認されることも多いですが、いずれも初期は元気で食欲旺盛な子がほとんどです。ただ、病気が進行するにつれ、徐々に元気がなくなってしまったり、ご飯を食べたがらなくなったり、痩せていったり…。病気によっては、お腹の辺りにハリを感じる場合もあります。
多飲多尿の原因とは?
飲水量や尿量の調節は、主に脳と腎臓が関与しています。水分がワンちゃんの体内から大量に出て行ってしまうと、血液中のイオンバランスが変化し、それをワンちゃんの脳が完治して、腎臓での尿の生産量を減らすホルモンを活性化させます。
逆に、体内の水分量が充分すぎる時は、腎臓で尿をたくさん作って身体の外に出すように働きかけます。脳、または腎臓の機能が正常にはたらかなくなってしまうと、水分の調節バランスが崩れてしまい、多飲多尿という症状につながります。
多飲多尿で考えられる犬の病気とは?
考えられる病気①:糖尿病
ワンちゃんの糖尿病は、体内のインスリンの分泌量が不足してしまい、食事で摂取した糖分をうまく利用できなくなってしまう病気です。血糖値が高い状態が続くと尿糖が出てきたり、白内障になったりなど、合併症にも注意が必要になってきます。
糖尿病の症状は、多飲多尿や体重減少からあらわれ始めます。尿に糖分が多く含まれているために水分の再吸収が上手く出来ず、「多尿」という症状になり、その結果として多飲してしまうことに繋がります。
適度に運動をさせることを日頃から意識し、余計な脂肪や糖を消費させて、体内の糖濃度を低下させることが重要です。
最悪の事態にならないため、少しでも異変を感じたら、すぐに獣医師さんに診てもらいましょう。
考えられる病気②:副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
副腎皮質機能亢進症はクッシング症候群とも呼ばれています。副腎皮質で作られているホルモン(コルチゾール)が過剰になってしまう病気で、多飲多尿の代表的な病気と言っても過言ではないでしょう。
コルチゾールは犬の脳の水分調節を抑えてしまい、腎臓では脳からの指令を妨げます。そのため多尿になってしまいます。ほかにも、脱毛や皮膚が薄くなる等の症状がみられる病気です。
投薬での治療が必要な状況までになってしまうと、一生投薬を続けなくてはならない状態になるので、早期発見が重要になります。
考えられる病気③:子宮蓄膿症(未避妊のメス犬のみ)
避妊手術をしていない雌のワンちゃんによくみられる病気です。タイミングとしては、犬の生理が終わって少し経過したころに多く見られます。子宮の中で細菌感染が起こって膿が溜まります。
この細菌が生み出す毒素によって、脳から出るホルモンの生成が妨げられ、その結果多尿を引き起こしてしまいます。また、他にも食欲がなくなったり、嘔吐するようになったり、外陰部から膿が出てきたりといった症状がみられます。何もせずに病気が進行すると、敗血症を引き起こし、命にかかわることがあります。定期的に超音波検査やレントゲン検査、血液検査などを受けて、早期発見することが重要です。
考えられる病気④:腎臓病
腎臓病によって腎機能が低下し、再吸収量が低下してしまうと、どんどん尿がでてしまうようになります。慢性腎不全の初期症状として多飲多尿が見られます。また、進行すると食欲の低下や体重の減少、嘔吐等がみられます。
慢性腎不全になると、命にもかかわることも充分あり得ますので、異変を感じたら過ぎに動物病院で診てもらうようにしましょう。完治は難しい病気であるため、療法食や投薬、点滴などで痛みを和らげてあげることしか出来ません。
考えられる病気⑤:膀胱炎
尿道から細菌が侵入・感染し、膀胱で炎症を起こすことです。雌はおしっこをするときに地面に接する機会が多いので、オスに比べて羅漢率は高いと言われています。
細菌神瀬だけでなく、糖尿病、加齢、体力の低下、排尿を我慢しすぎなどが原因で発症することもあります。
今すぐ命にかかわるという病気ではありません。しかし、放置してしまうと他の病気を発症させる恐れがあります。
尿検査で簡単に検査することができるので、予兆を感じたらすぐに受けさせるといいでしょう。抗生剤による投薬治療や、膀胱炎を引き起こした元の病気を直すことが治療になります。
考えられる病気⑥:膀胱・尿路結石
膀胱結石は、膀胱に結石ができる病気で、おしっこの量が減り、回数が増えるなどの症状がでます。尿に含まれている化学物質が結晶化することで発症しますが、膀胱内の小さな石が尿道を塞ぐこともあり、尿道閉塞をひきおこす危険性があります。
尿路結石は膀胱にたまったおしっこが外に出るまでの通り道に結石が出来てしまう病気です。おしっこの通り道を塞ぐので、おしっこの量が減る、おしっこをするときに激痛がはしることもあります。
雌は尿道が短いので、小さい結石であればおしっこと一緒に輩出されます。しかし、オスの場合や石が大きくなってしまった場合は、自然に出すことは難しいため、獣医師さんに早めに診てもらうようにしましょう。
考えられる病気⑦:前立腺肥大
膀胱の下に平等を囲むようにある前立腺が大きくなる病気です。おしっこの排泄を補助する前立腺が肥大すると、おしっこの量が減って回数が増えるようになります。
前立腺肥大は痛みがないので、日常生活に支障が出ることはまずないでしょう。
しかし、便秘を併発することもあるので、一度は動物病院で診てもらっておくと安心でしょう。食事療法やホルモン剤の投与、去勢手術などで処置することが可能です。
病気以外に考えられる原因は?
考えられる原因①:フードの変化
水分量が多いウェットフードからドライフードに切り替えると、水を飲む量がその分増えます。また、塩分を多く含むフードは喉が乾くので、多飲多尿になるケースが多くなり、心臓や腎臓等の器官への負担も大きくなるので、なるべく控えるようにしましょう。
考えられる原因②:ストレス
極度の緊張やストレスをワンちゃんが感じてしまうと、抗ストレスホルモンが泰寧で分泌されるようになります。このホルモンによって水を頻繁に飲むようになります。身の回りの環境に変化がないか、確認しておきましょう。
考えられる原因③:嘔吐・下痢
下痢や嘔吐によって体内の水分が大量に失われ脱水症状に陥ります。そうなると、体内のミネラルも失われ、水とともにミネラル成分も補給しなければなりません。多飲多尿を伴う下痢や嘔吐を引き起こしている場合は、愛犬の身体に不可がかかっているので、早急に動物病院へ連れていきましょう。
考えられる原因④:薬、中毒
利尿剤やステロイド剤などの薬が原因で多飲多尿を引き起こすことがあります。また、アルコールを誤って飲んでしまったり、 ビタミンDの過剰摂取による中毒でも多飲多尿になることがあります。
頻尿を発症しやすい犬種は?
頻尿になりやすい特定の犬種が決まっているわけではありませんが、「オスよりはメスの方がなりやすい」「シニア犬」は注意が必要でしょう。
特徴①:オスよりはメス
メスは、オスに比べて尿道が短いため、細菌が体内に侵入しやすくなっています。そのため、膀胱炎や膀胱結石、尿道結石を発症しやすいと言われています。
特徴②:シニア犬
7歳以上の老犬になると、慢性腎不全や前立腺肥大を発症するリスクが高まります。去勢をしていないオスの場合、9歳になると発症率がなんと95%とも言われているため、注意しておく必要があります。
多飲多尿の時に受ける検査は?
検査①:血液検査
血液検査は頻尿に悩むワンちゃんにとって重要な検査となります。
血液を採取し、血糖値の上昇やカルシウム量の増加などを検査し、糖尿病や高カルシウム血症、心不全などの病気が判明します。
検査②:尿検査
ワンちゃんのおしっこを採取して調べると、膀胱炎、尿結石、腎不全、糖尿病かどうかを判断することが出来ます。
検査③:画像検査
レントゲン検査・超音波検査・尿路造影検査し、映像から情報を得て病気を特定します。
まとめ:愛犬に少しでも異変を感じたら、すぐに動物病院へ連れていきましょう。
水をたくさん飲むようになったり、トイレの頻度が少し多くなったり、きっかけはほんの些細なことかもしれません。しかし、そこで動物病院にすぐに連れていくか行かないかで、これから愛犬が幸せに過ごせるかどうかが変わって来るかもしれません。面倒くさがらずに、少しでも異変に気付いたら獣医師さんに相談するようにしましょう。
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