老犬と一緒に暮らしていると、若いころと比べて寝る時間が長くなったと感じることはありませんか?
「年だから仕方がないことなのかな」
「どこか具合でも悪いのかな」
などと考える飼い主さんも多いことでしょう。年をとるにつれて、老犬の睡眠時間が長くなるのは自然の変化なので特に問題はありません。
しかし、老犬が寝てばかりいるのは老化によるものだけでなく、体の不調や病気が原因の場合もあるのです。
この記事では、老犬が寝てばかりいる原因と対策、チェックしてほしいポイントを紹介した上で、注意点と飼い主ができることまでを詳しく解説していきます。この記事を参考にして、愛犬の快適な睡眠をサポートしてあげましょう。
目次
老犬の睡眠時間が長くなったと感じたときに考えられる原因と対策
老犬の睡眠時間が長くなる原因と対策について理解するため、以下の2つの考えられる原因について見ていきましょう。
・老化
・ストレス
老化
睡眠には、脳と体の疲労を回復させる役割があります。犬によって異なりますが、成犬の1日の睡眠時間は平均12~15時間程度。一方で、子犬や老犬の1日の睡眠時間は平均で18~19時間になることもあります。
これは、年をとると筋力が落ちて疲れやすくなり、回復するのに時間がかかるためです。人間と同じように、老化によって体力が衰えるのは自然なことなので、特に問題はありません。
ストレス
アメリカンケネルクラブ(AKC)によると、老犬だけでなく多くの犬は、引っ越し、大好きな犬や人間との別れなどの変化によってストレスを感じます。そして、そのストレスから気持ちを回復させるために睡眠が必要なのだそうです。
この対策としては、なるべく環境を変化させないのが1番有効なのですが避けられない場合もあるでしょう。そのため、できるだけ愛犬がストレスを感じないよう、積極的にコミュニケーションを取り、安心できる居場所を作るようにしましょう。
病気の早期発見!寝てばかりいる老犬のチェックポイント
老犬の睡眠時間が長くなる原因として、上記の2つ以外に忘れてはいけないのが病気によるものです。
この章では、老犬の寝る時間が長くなった裏に隠れた病気を早期に発見するため、チェックしてほしい4つのポイントについて紹介します。4つのポイントのうち1つでも当てはまるものがあれば、なるべく早く動物病院を受診するようにしましょう。
チェック1:食欲はあるか?
あなたは体調が悪いときにモリモリご飯を食べることはできますか?
また、そんな時は寝る時間を増やして回復しようとしませんか?
犬も同様に体調が悪いときや病気にかかっているときには、あまりご飯を食べたがらず寝る時間も長くなるものです。
例えば、心臓病や肝機能障害、がんなどの老犬で多く見られる病気を初めとして、症状の1つに食欲不振があげられる病気はたくさんあります。
老化により味覚や嗅覚が衰えることで食欲がなくなる老犬もいますが、普段は食欲旺盛なのに、ある日突然ご飯を食べなくなったという場合は特に注意をしましょう。
チェック2:いつもと違う寝方になっていないか?
関節炎や膝蓋骨脱臼などは体を動かすことで痛みが伴うので、あまり動かないようにして痛みを避けようとします。それで、いつもより寝る時間が長くなったと感じるのです。
例えば、「いつもは仰向け(ヘソ天)で寝ているのに、最近は体を少し丸めて寝ているな」という場合、椎間板ヘルニアの可能性があります。たまたまいつもと違う寝方になっている場合も考えられますが、愛犬の様子を注意深く観察するようにしてください。
また、寝ている愛犬の顔や足がピクピク動いているのを見たことがある人もいるでしょう。これは夢を見ている状態なのですが、発作のように激しく痙攣している場合は、てんかんなどの脳神経疾患の疑いがあります。
このような症状が見られたときは、以下のように対処しましょう。
① 痙攣がおさまるまで体に触らない
② 周りのものに体が当たってケガをしないように移動させたり、クッションでガードしたりする
③ 痙攣の様子を獣医師に見せるために動画でとっておく
④ 動物病院を受診する
チェック3:皮膚や被毛の状態は?
ホルモンを分泌する内分泌腺の老化が進んだり、内分泌腺の働きを制御する器官に不具合が生じたりすると、ホルモン分泌が異常になり、様々な不調や病気を引き起こします。
例えば、なんとなく元気がないように見える甲状腺機能低下症や多飲多尿などの症状がみられる甲状腺機能亢進症はホルモン分泌の異常が原因の病気です。この2つに共通する症状に脱毛などの皮膚症状が見られます。
このような病気でなくても、皮膚や毛の状態は老犬の健康状態を把握する上で重要な要素となるので、注意して観察するようにしましょう。
チェック4:いびきをかいていないか?
老犬になると首周りの筋肉が衰えることで気管を圧迫し、いびきをかきやすくなります。これは老化に伴うものなので問題ありませんが、呼吸が楽にできる姿勢であるうつ伏せにすることで、いびきがおさまるかもしれません。
しかし、以下のような症状がみられる場合は、短頭種気道症候群や気管虚脱など呼吸器系の疾患の疑いがあるので注意が必要です。
・今までかいてなかったのに突然いびきをかくようになった
・いびきがどんどんひどくなっている
・「ゼーゼー」「ガーガー」苦しそうに呼吸している
チェック5:生活リズムが乱れていないか?
ぐっすり気持ちよさそうに寝ている愛犬を起こすのは、少し気が引けてしまいますよね?ですが、日中の寝る時間が増えることで以下のような問題が生まれることもあります。
・夜に起きている時間が長くなる(昼夜逆転の生活)
・夜泣きが増える
・運動不足
・食欲低下
特に上の2つは認知症の症状で、愛犬にも飼い主にもストレスがかかってしまうことがあるので要注意。認知症予防のためにも、コミュニケーションをとりながら日中適度な運動をさせるように心がけましょう。
老犬が寝てばかりいるときの注意点と対処法
上記では、老犬の睡眠時間を長くする原因となる病気を早期発見するためのチェックポイントについて解説しました。このチェックポイントで気になる症状がない場合でも、老犬の体調は急変しやすいので、定期的に動物病院を受診するようにしてください。
そしてこの章では、動物病院を受診した結果、病気の可能性は低いと診断された場合でも注意してほしいこととその対処法について紹介します。
筋力低下
人間と同様に、犬も年をとると筋肉をつけたり維持したりするのが困難になるもの。寝てばかりいる老犬は当然、筋肉を使わないので筋肉が落ちてしまいます。そして、動くとすぐに疲れてしまうのでさらに寝てばかりになり、筋肉が落ちるという悪循環に陥ってしまうのです。
筋力が落ちると、最悪の場合は自立できなくなる可能性もあります。そうなると、老犬も飼い主も介護などでストレスを感じる機会が増えるかもしれません。
そこで、対処法としておすすめなのが散歩です。散歩には筋力維持の効果以外にも以下のような効果があるので、無理のない範囲で愛犬の様子を見ながら散歩をするようにしましょう。
・ストレス解消
・植物のにおいや道の感触などの刺激を得られる
・犬や人とのコミュニケーションの機会を作れる
一方、散歩に行けない場合は、室内でボール遊びやかくれんぼをしたり、頭も使う知育玩具で遊んだりするのがおすすめです。
体重の増減
シニアになると基礎代謝が低下し、痩せにくい体になってしまいます。そのうえ、老犬を寝てばかりにさせていると、運動量が減り、太ってしまうでしょう。
この対策はお分かりの通り、ダイエットです。適度な運動も大切ですが、おやつを減らしたりフードのカロリーを見直したりしてみましょう。
逆に、老化により消化吸収の機能が衰えることで痩せてしまう場合もあります。そんな時は、シニア用のフードに変えたり、お湯でふやかして柔らかくしたりしてみてください。愛犬がフードを食べたがらない場合は、お皿の高さを上げたり、温めてニオイを強めたりするのも有効です。
また、食べる量は変わっていないのに体重が減る場合は病気の可能性もあるので、その場合は獣医師に相談するようにしてください。
食欲不振によるエネルギー不足
寝てばかりで最低限の食事もとらない状態だと、エネルギー不足になってしまいます。
歳をとるにつれて食が細くなること自体は避けられないことですが、必要なエネルギーや栄養素を摂取することは重要です。シニア犬がご飯も食べない状態が続くと、エネルギー不足でどんどん衰弱が加速してしまいます。
「愛犬がなかなか食べてくれない」「何を与えれば良いかわからない」という場合には、シニア犬専用のドッグフードがおすすめです。
例えば、食べやすさを追求したピュレー状の商品では、歯が弱いシニア犬でも食べやすく、健やかな体づくりに欠かせないエネルギーと栄養素を摂取できます。
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筋肉のコリや関節のこわばり
あなたは体が冷えたときやずっと同じ態勢で寝ていたときに、首や肩などが痛くなったことはありませんか?
そして、そんな時はお風呂に入ると体がほぐれて、痛みが軽くなったように感じたことがありませんか?
犬も同じように寝てばかりいると、筋肉のコリや関節のこわばり、骨の変形や炎症などで痛みを感じることが多くあります。
この対処法としては、具体的に次のような方法があります。
・温かいタオルで筋肉をほぐす
・血行促進のためのストレッチ
・心身ともにリラックスさせるマッサージ
痛みの有無にかかわらず、獣医師と相談して、適切なケアをするようにしましょう。
体の冷え
突然ですが、愛犬の手足を触ってみてください。冷たいと感じるなら、冷え性かもしれません。特に老犬は、運動量が減ることで体内の血液循環が悪くなりがちです。冷えによって起こる問題は次のようなものが考えられます。
・内臓機能の低下による消化不良
・関節痛などの持病の悪化
・免疫力の低下
東洋医学において、万病の元とされている冷え。様々な病気にかかりやすくなったり不調の原因になったりするので、特に老犬の飼い主は注意が必要です。
冷えの対処法としては、関節のこわばりの対処法と同じものが有効ですが、そのほかにも次のような方法があります。
・適度に運動させる
・服を着せる
・ブラッシングをこまめにする
・フードの量を増やす、またはカロリーが高いものに変える
質の良い睡眠のために飼い主ができること
寝ている時間が増えた老犬の睡眠の質を高めることは、起きている時間をイキイキと健康に過ごすことにつながります。
そこでこの章では、質の良い睡眠のために飼い主ができることについて詳しく見ていきましょう。
環境を整える
老犬にとっての快適な環境づくりに欠かせないのが温度と湿度。
年をとるにつれて、体温調節機能が衰えてくる老犬にとって、24度前後の室温でなるべく一定に保つと体への負担が少なくなります。しかし、この温度は目安であり、季節・犬種・年齢など愛犬の状態に合わせて変えていきましょう。
また、湿度も重要で50~60%が適切と言われています。温度が高い場合は、湿度も高いと体感温度が上がり、熱中症にかかりやすくなるので注意が必要です。一方で、湿度が低いと乾燥肌になってしまう老犬は加湿器をうまく活用しましょう。
さらに、老犬自身が選べる環境づくりも重要です。例えば、寒い冬の日にケージで留守番させる老犬のことを思ってホットマットをケージの下全体に敷くとします。飼い主が良かれと思ってしたことですが、時間の経過とともに暑さを感じてしまうかもしれません。
ですが、ケージ全体が温かい状態なので暑さを回避することができない状態になります。こうならないために、ホットマットをケージの下半分だけに敷くなど、暑くなったら涼しい場所へ移動できるようにしましょう。
このように、老犬自身が心地よい場所へ移動できる工夫をしてみてください。
寝床を見直す
寝床で寝る時間が長くなる老犬にとって、寝床の快適さは睡眠の快適さに直結します。まずは、愛犬にとって心地いいベッドを選びましょう。ベッドを選ぶポイントは老犬の体調や好みなどによって変わりますが、具体的には次のようなものがあります。
・愛犬にあった大きさか
・柔らかくクッション性があるか
・洗濯でき、清潔に保つことができるか
・夏は通気性がよく、冬は保温性がよいものを
さらに、寝たきりの老犬で注意したいのが床ずれです。床ずれとは、体の一部が圧迫されて血行不良により、その部分の細胞が壊死することを指します。
1度床ずれになると再発しやすく、完治するのにも時間がかかるものなので予防が大切です。予防方法としては、主に以下の3つがあげられます。
・床ずれ防止マット(体圧分散マット)の利用
・床ずれができやすい場所を保護するクッションや靴下の利用
・2~3時間おきの寝がえりのサポート
まとめ:寝てばかりいる老犬が心配な時は動物病院へ
私たちは、老犬が寝てばかりいるのをついつい年齢のせいにしてしまいがちですが、この記事を読んで治療できる病気の可能性もあるということが分かったかと思います。病気によって痛い・苦しい思いをさせないためにも、少しでも気になる症状があれば動物病院を受診しましょう。
また、寝てばかりいる老犬のためにできることも紹介しましたが、これは一例にすぎません。この記事を参考にしつつ、愛犬に合ったオリジナルのサポートをするべく試行錯誤してみてください。
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