老犬が悲鳴のような鳴き声をあげる理由は?3つの対処法も解説!

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突然、老犬が悲鳴のような鳴き声をあげたら驚いてしまいますよね?

「大変な病気だったらどうしよう」

と不安に思う飼い主さんも多いことでしょう。

 

また、近所から老犬の悲痛な鳴き声が聞こえたら

「虐待をうけているかもしれない老犬を助けたいけれど、どうしたらいいか分からない」

と行動できないでいる人もいるかもしれません。

 

しかし、老犬が悲鳴のような鳴き声をあげる原因やその時の正しい対処法を知っていれば、最適な対応がとれるでしょう。

この記事では、老犬が悲鳴のような鳴き声をあげたときに考えられる原因を紹介したうえで、3つのケース別の対処法について解説します。

これらを参考にして、老犬が悲鳴のような鳴き声をあげても、落ち着いて対処しましょう。

 

老犬が悲鳴のような鳴き声をあげたときに考えられる3つの理由

老犬が悲鳴のような鳴き声をあげたとき、飼い主さんは真っ先に老犬のケガの心配をしませんか?たしかに、私たちもケガをして”痛み”を感じたときに「いたっ!」と思わず声をあげてしまうことがあるでしょう。

しかし、老犬が悲鳴のような鳴き声をあげる理由は“痛み”だけとは限りません。

そこでこの章では、老犬が「キャンキャン」や「キャイーン」といった悲鳴のような鳴き声をあげる3つの理由について解説します。

 

痛み

上記でもふれましたが、犬はケガや病気などの“痛み”から「キャン」と鳴くことがあります。この場合は命に関わることもあるため、できるだけ早い対処が必要です。

愛犬が悲鳴のような鳴き声をあげたら、まずは“痛み”の原因を探ってください。具体的には、愛犬をよく観察しながら体を触ってチェックし、周りの状況と合わせて犬の“痛み”の原因を考えていきます。

 

たとえば、愛犬が“痛み”を感じるときは、以下のような状況が考えられます。

・高いところから飛び降りてケガをした
ほかの犬との遊びやケンカでケガをした
病気のためにお腹や腰が痛い

 

出血や腫れなどの見た目に変化が見られる場合は、比較的簡単に原因を突き止められるでしょう。しかし、病気のように体の中で起こっている異変は原因を特定するのが困難です。

特に老犬は病気にかかりやすくなるため、問題がなさそうな場合であっても動物病院を受診するようにしましょう。

 

恐怖・驚き

私たち人間と同じように、犬も“恐怖や驚き”を感じたときに悲鳴をあげることがあります。特に怖がりの犬は、小さな刺激にも敏感です。

たとえば、愛犬が“恐怖や驚き”を感じるときは、以下のような状況が考えられます。

・予想外のところから急に体を触られた
過去に怖い思いをした人や犬が近づいてきた
雷や花火などの大きな音が突然聞こえた

 

この場合は、愛犬が“恐怖や驚き”を感じるものを特定しやすく、それを避けることで悲鳴のような鳴き声をあげないようにすることができるでしょう。

視力や聴力が低下した老犬は、急に体を触られることにストレスを感じやすくなります。そんな老犬を驚かせないようにするためにも、老犬が元気なうちから名前を呼び、しっかり目を合わせてから体を触るようにしてみてください。

 

飼い主への要求

何かをうったえるように「キャンキャン」と鳴き続ける場合は、“飼い主への要求”だと考えられます。子犬のころは無駄吠えとされることも多い要求吠えですが、自分の力でできることが少なくなった老犬の要求吠えは、助けを求めている場合もあるので注意が必要です。

たとえば、愛犬が“飼い主への要求”をおこなうときは、以下のような状況が考えられます。

・排せつをしたからオムツを替えてほしい
・寝たきりの老犬が手を動かしていたら、ベッドから落ちた
・後退できない老犬が、家具の間にはさまった

 

これらの要求吠えは、飼い主さんが起きている時であれば、問題なく対応できると思います。しかし、夜鳴きになると飼い主さんの負担が大きくなるでしょう。対処をしてすぐに鳴きやんでくれる場合はよいのですが、原因が分からず鳴き続ける場合は、できるだけ早く獣医師に相談してください。

 

老犬が悲鳴のような鳴き声をあげる原因として考えられる5つの病気

老犬が悲鳴のような鳴き声をあげる原因として、注意したいのが病気によるものです。病気によって鳴いている場合は、放置しておけば病気が悪化して愛犬の苦痛が増してしまいます。そのため、少しでも病気のサインや変化が見られたら、すぐに動物病院を受診するようにしてください。

この章では、特に老犬で発症しやすい5つの病気について解説します。

 

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは、背中の骨と骨の間のクッションの役割を果たす椎間板が、神経を圧迫することで痛みが起こる病気。老犬の中でも、特に次の犬種は注意が必要です。

・ミニチュア・ダックスフント
・ウエルシュ・コーギー
・シー・ズー

 

椎間板ヘルニアの老犬は、首や背中の痛みをかばうように体を丸めて歩いたり、抱き上げたときや体に触ったときに「キャン」と鳴いたりといったサインが見られます。

そんな椎間板ヘルニアの予防には、首や背中に負担をかけないことが1番です。具体的には、以下のことを実践しましょう。

・ソファやベッドに上がらせない、またはスロープをつける
・床に滑りにくい素材のマットを敷く
・太らせすぎない

 

膵炎

膵炎は、食べ物の消化を助ける膵液の分泌に異常が起こり、自身の膵臓を消化してしまう恐ろしい病気。老犬の中でも、特に次の犬種は注意が必要です。

・ミニチュア・シュナウザー
・ヨークシャー・テリア
・コッカー・スパニエル

 

膵炎を発症した老犬は、激しい腹痛からお腹に触ろうとすると悲鳴のような鳴き声をあげたり、“お祈りポーズ(伏せの状態からお尻だけを持ちあげたプレイバウによく似た姿勢)”をとったりすることがあります。

そんな膵炎の予防には、健康的な生活が必須。特に、次のことに注意しましょう。

・高脂肪な人間の食べ物を犬にあげない
・適度に運動させて太らせすぎない
・定期的に健康診断をおこなう

 

悪性腫瘍(ガン)

老犬は、加齢に伴う免疫力の低下によって腫瘍ができやすくなります。腫瘍の中でも、ほかの臓器に転移する悪性腫瘍を“ガン”と呼び、悪化すると痛みを感じる場合もあります。老犬の中でも、腫瘍の種類によって以下の犬種は注意が必要です。

・精巣腫瘍…アフガンハウンド、ジャーマン・シェパード
乳腺腫瘍…プードル、ヨークシャー・テリア
・骨肉腫…ゴールデン・レトリーバー、ロットワイラー

 

ガンの中でも体の表面にイボやしこりができた老犬は、それに触れたときに「キャン」と鳴く場合があります。一方、見た目では分からないところにガンができた場合は、食欲減退・元気消失などのサインが見られます。

そんなガンを完全に予防するのは難しいもの。とはいえ、次のことはガンのリスク軽減につながります。

・避妊・去勢手術
免疫力を高めるための健康な食生活
できるだけストレスをかけない

 

尿路結石症

尿路結石症は、尿中のミネラル成分が膀胱や尿道内で結晶化する病気。老犬の中でも、特に次の犬種は注意が必要です。

・ミニチュア・シュナウザー
・ダルメシアン
・シー・ズー

 

尿路結石症を発症した老犬は、おしっこが出にくくなったり、血尿が出たりします。

そんな尿路結石症の予防には、結石ができないようにすることが大切。具体的には、以下のことを実践しましょう。

・寝床とトイレを近くにおいて、おしっこを我慢させない
ぬるま湯でフードをふやかす、ウェットフードを与えるなど飲水量を確保する
・チーズなどのカルシウムの多い食品やほうれん草などのシュウ酸を多く含む食品を食べさせすぎない

 

認知症

認知症とは、加齢に伴う何らかの病気や障害によって脳の機能が低下し、生活に支障が出る状態のことを指します。老犬の中でも、特に次の犬は注意が必要です。

・柴犬や秋田犬などの日本犬
・日本犬系の雑種
・外で飼育している犬

 

認知症を発症した老犬は、夜中の決まった時間に悲鳴のような鳴き声をあげるのが特徴です。そのほかにも、方向転換がうまくできない、トイレの失敗が増えるなどいくつかのサインが見られます。

犬の認知症はまだまだ解明されていないことが多く、具体的な予防法はありません。しかし、以下のように脳を刺激し、十分な栄養を脳に与えることが予防につながると考えられています。

・遊んだり話しかけたり、たくさんコミュニケーションをとる
・毎日散歩コースを変える
・DHAやEPAなどを多く含む魚類やサプリメントを与える

 

【3つのケース別】老犬が悲鳴のような鳴き声をあげたときの対処法

これまで、老犬が悲鳴のような鳴き声をあげる原因とその対処法や予防法について解説しました。とはいえ、実際に老犬の悲鳴のような鳴き声を聞いたら驚いて焦ってしまうかもしれません。

そこで、この章ではより具体的な状況別に、あなたがやるべきこと・できることを解説していきます。

 

夜泣きの場合

認知症を発症した老犬でよく見られる夜泣き。この対処法として飼い主さんに実践してほしいのは、次の7つです。

・日光浴で体内時計をリセットする
・一緒に遊んだり散歩に行ったりすることで、昼間に寝すぎないようにする
・より寝心地のよいマットやベッドに変える
・快適な環境を保つ(静か・室温24度前後・湿度55%程度)
・離れて寝ていた場合は、飼い主さんの近くに寝床を移動させる
・寝る前にトイレを済ませる(オムツの場合は排せつしていないか確認)
・獣医師に相談する

 

これらの対処法を実践しても、残念ながら夜鳴きが続くことがあります。そうなると、飼い主さんの負担は大きくなるばかり。

老犬だけでなく飼い主さんの心身の健康のため、老犬ホームやペットホテルを利用することも1つの手段として頭に入れておきましょう。

 

近所の犬の虐待が考えられる場合

他人の犬が虐待されていると考えられる場合は、警察や住んでいる地域の保健所(愛護センター)に通報してください。『アニマルポリス』が設置されている大阪府や兵庫県に住んでいる人は『アニマルポリス』に連絡してもよいでしょう。

悲鳴のような鳴き声をあげている犬が老犬の場合、上記で説明したように認知症によるものの可能性があります。しかし、残念ながら虐待をうけている場合も考えられるのです。

なかには、直接的な暴力による虐待でなく、飼い主が入院したことによって犬が放置されていたケースもあります。たとえ、虐待の確信が得られなくても通報することが大切です。

 

ほかの犬に咬まれた場合

ノーリードで散歩していた犬やドッグランで一緒に遊んでいた犬に、突然愛犬が咬まれたら、1番に愛犬を動物病院に連れて行くことを考えるでしょう。しかし、咬まれた愛犬に適切な治療をうけさせるためには、他にもやるべきことがたくさんあります。

具体的には、以下の手順で対応してください。

1. 愛犬を咬んだ犬の飼い主に動物病院に同行してもらうように相談する
2. 同行できない場合は、名前・連絡先・住所を聞く
3. 愛犬を落ち着かせ、傷を水で洗い流す(出血が多い場合は止血もおこなう)
4.咬まれた当日に動物病院に連れて行く
5.翌日までに愛犬が咬まれたことを保健所に連絡する
6.愛犬を咬んだ犬のワクチン証明書と感染症にかかっていないかどうかを調べた検診証明書をもらう

 

弁護士に依頼して治療費や慰謝料を請求するかは飼い主さん次第です。しかし、愛犬を咬んだ犬がワクチンをうけていない、または何かの病気に感染していた場合は適切な治療が必要になるので、忘れず確認するようにしてください。

 

まとめ:老犬が悲鳴のような鳴き声をあげたら動物病院へ

この記事では、老犬が悲鳴のような鳴き声をあげたときに考えられる原因と、3つのケース別の対処法について解説しました。

老犬が悲鳴のような鳴き声をあげたときに考えられる原因は、大きく分けて次の3つです。

・痛み

・恐怖・驚き

・飼い主への要求

 

なかでもケガや病気による”痛み”が原因の場合は、老犬を苦しませないためにも、できるだけ早く動物病院を受診してください。

また、この記事で紹介した3つのケース別の対処法を実践すれば、突然悲鳴のような鳴き声を聞いた時でも焦らず行動できるはずです。まずは、飼い主さん自身が落ち着いて、冷静に対処するようにしましょう。