老犬にとっての楽な寝方は、どんな体勢なのか気になりませんか?
「うちの子は首を直角に曲げて寝ていることが多いけれど、しんどくないの?」
「寝る時間が増えた老犬だからこそ快適に寝てほしいけれど、どうすればいいの?」
と疑問に思っている飼い主さんも多いことでしょう。
しかし、老犬の楽な寝方についての知識を身につければ、それほど悩む必要はありません。
この記事では、以下について解説します。
・老犬にとっての楽な寝方
・3つの要注意な寝方
・要注意な寝方を発見したときに飼い主がとるべき行動
・寝たきりの老犬で気をつけるべき3つのポイント
これらを参考にして、愛犬がより快適に寝られるお手伝いをしましょう。
目次
老犬にとっての楽な寝方はそれぞれ違う
結論からいうと、老犬にとっての楽な寝方は犬ごとに異なります。私たち人間でも、うつ伏せで寝るのが好きな人もいれば、横向きでないと寝られないという人がいるのと同じです。
そのため”寝ているときによく見られる寝方が、愛犬にとっての楽な寝方”とも考えられます。
この章では、いくつかある犬の寝方について、一般的に警戒心が弱いと言われる順に紹介します。
仰向け
仰向けはヘソ天とも呼ばれ、フレンチ・ブルドッグや柴犬などの背中が平らな犬でよく見られる寝方です。急所であるお腹を見せている仰向けは、最も安心してリラックスしている寝方だと言えるでしょう。
ただし、シーズーやパグなどの短頭種では、仰向けになることで呼吸がしにくくなるので注意が必要です。また、腰に負担をかける寝方でもあるので、ヘルニアを発症しやすいとされるミニチュア・ダックスフンドやウェルシュ・コーギー・ペンブロークが長時間仰向けで寝るのは阻止した方がよいでしょう。
横向き
横向きは、うつ伏せと比べるとすぐには立ち上がれない状態であることから、比較的警戒心が弱い寝方だと言われています。
丸くなった、またはうつ伏せの状態だった犬が、寝始めてからしばらくして横向きになることもよくあるので、より熟睡するための寝方であると言えるでしょう。横向きで寝ている犬が、足をバタバタさせて夢を見ているのがその証拠です。
また、手足を曲げずに寝られるこの寝方は、手足の負担をかけずに寝られることから、よりリラックスできるとも考えられます。
丸くなる
丸くなって寝ている状態はワンモナイトとも呼ばれ、寝初めによく見られる寝方です。急所であるお腹を隠したこの寝方は、不安の表れとも言われています。そのため、飼い主や周りの環境が変わった犬は、慣れるまで丸くなって寝ることが多いでしょう。
また、寒い時にも丸くなって寝ます。これは、丸くなることで体温を逃がさないようにしているのです。強く寒さを感じているときは、自分のしっぽで鼻を隠すようにして寝るので、愛犬が丸くなっているときは室温を確認するようにしてください。
うつ伏せ
うつ伏せも寝初めによく見られる寝方です。何かあったときにすぐに立ち上がれるこの寝方は、強い警戒心の表れで、熟睡していないとも言われています。
何かに注意を向けているときは、その方向に鼻先を向けてうつ伏せで寝ていることが多いでしょう。
また、暑い時にもうつ伏せで寝ることがあります。これは、背中よりも毛が薄いお腹を冷たい床や冷感マットなどにつけることで体温を下げているのです。
こんな寝方をしていたら要注意
犬は、毎日同じ寝方をするわけではありませんが、多くは上記のどれかの寝方をしているでしょう。しかし、愛犬が以下のような寝方をしているのであれば注意が必要です。
・横向きで足を開いている(足をのばしている)
・祈りのポーズ
・座ったまま
また、愛犬のSOSにいち早く気づくためには、寝方だけでなく、普段の様子や寝ているときの様子も同時にチェックしなければなりません。
そこでこの章では、注意が必要な3つの寝方とそれを見極めるためのポイントも合わせて解説していきます。
横向きで足を開いている(足をのばしている)
横向きは、リラックスしているときにも見られる寝方ですが、注意したい寝方との違いを見分けるポイントは“呼吸”です。横向きで足を開いた状態で「ハアハア」と荒い呼吸をしている時は、暑さを感じている、または熱中症の可能性があります。
愛犬がこの寝方をしているのを見かけたら、室温を確認するとともに愛犬の様子を見つつ、体を冷やすようにしましょう。
また、横向きで足をピーンとのばしているときは、次のような病気やケガが原因で痛みを感じているかもしれません。
・膝蓋骨脱臼(パテラ)
・椎間板ヘルニア
・骨折などのケガ
歩き方を観察したり体を触ったりして、異変を感じた場合はすぐに獣医師に診てもらうようにしましょう。
祈りのポーズ
祈りのポーズとは、伏せをした状態から前足はそのままで、お尻だけを持ち上げた姿勢です。この寝方をしている時は、膵炎などが原因で激しい腹痛を感じている可能性があります。
祈りのポーズ以外にも、次のような様子が見られたら、できるだけ早く動物病院を受診するようにしてください。
・元気がない
・呼吸が荒い
・熟睡できず、寝る場所を何度も変えている
座ったまま
何かが気になって、座ったままウトウトしているだけであれば特に問題はありません。しかし、横向きやうつ伏せの寝方が辛いために座ったまま寝ているのであれば要注意です。
特に、呼吸が苦しそうな場合は呼吸器系の疾患が、体を触ろうとしたり抱き上げたりしたときに悲鳴をあげる場合はヘルニアが疑われます。
強く緊張している犬でもよく見られますが、「最近になって座ったまま寝ている姿をよく見かけるな」と感じた場合は、1度動物病院を受診するとよいでしょう。
老犬が要注意な寝方をしていたときに飼い主がとるべき3つの行動
愛犬が上記で解説した要注意な寝方をしているとき、そのまま放置しては危険です。そのため、できるだけ早く対処しなければならないのですが、獣医師の前でタイミングよく老犬が寝るわけではないですよね?
しかし、その場合は獣医師に老犬の状態を正しく把握してもらうことができません。
この章では、老犬の状態を正しく伝えるために、飼い主さんにやってほしい3つの行動について解説します。
動画を撮る
老犬が上記の要注意な寝方をしているところを見かけたら、まずは動画を撮りましょう。老犬の状態を正しく診断してもらうためには、少しでも多くの情報が必要です。
しかし、口で説明するだけでは、実際に見てもらうのに比べて情報が少なくなってしまいます。動画を撮れば、老犬がどのような状態で、どのくらいの時間要注意な寝方をしていたかを正確に伝えられるでしょう。
寝ているときの状態を確認
寝ているときの状態も忘れず確認してください。以下のような症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。
・痙攣している
・顔がひきつっている
・呼吸が早い
・何度も体勢を変える
・意識がない
特に老犬は体力の低下などが原因で、力尽きるように寝てしまうことがあります。そうして偶然、要注意な寝方をしてしまうこともあるので、寝方だけでなく寝ているときの老犬の状態と合わせて総合的に判断する必要があるのです。
無理に起こさないようにしつつ病院へ
本来寝ているときはリラックスしている状態なので、老犬が苦しそうに寝ていたら心配になって「すぐに起こさなければ」と思うかもしれません。しかし、痛みを感じている場合や痙攣発作を起こしている場合は、起こそうとした途端に触ってほしくないという理由で飼い主に噛みついてくることがあります。
要注意な寝方をしている時は、しばらくして目を覚ますまで待つか、噛まれない工夫をしたうえで病院に連れて行くとよいでしょう。
寝たきりの老犬で気をつけるべき3つのポイント
ここまでは、主に自力で歩ける老犬の寝方について説明してきました。自力で体を動かせる老犬であれば、自力で楽な姿勢をとることができるし、苦痛を軽減させるための姿勢もとることができます。しかし、自力で寝返りができない老犬の場合はそうはいきません。
寝たきりの老犬が苦痛を感じず楽に寝るためには、飼い主さんの介助が重要なのです。
そこで、この章では寝たきりの老犬のために気をつけるべき3つのポイントを見ていきましょう。
愛犬の楽な寝方(好きな寝方)を把握する
まずは、愛犬の楽な寝方を把握しましょう。寝たきりの老犬を横向きで寝かせている飼い主さんは多いと思いますが、老犬の中には寝たい向きや楽な寝方が決まっている犬もいます。
たとえば、右側が下の方が楽な犬もいれば、横向きよりうつ伏せで寝たい犬もいるでしょう。また、同じ横向きであっても枕のように頭を高くしてほしい犬もいれば、縁があるベッドのように体の周りを囲まれたい犬もいます。
年を重ねるごとに、楽な寝方(好きな寝方)が変わるかもしれませんが、できるだけ老犬が楽に寝られるようにしましょう。
床ずれに注意
寝たきりの老犬の1番の問題は、床ずれです。寝たきりになると、皮膚が圧迫されたり、擦れたりすることで床ずれになります。
床ずれを予防する方法は、同じ姿勢を続けさせないこと。老犬には楽な寝方で寝てもらいたいのですが、床ずれを予防するためには不快な寝方をさせる必要があるのです。
具体的には、以下のような方法を試してみてください。
・2~3時間ごとに寝返りさせる
・毎日体を清潔に保ち、皮膚の状態をチェックする
・床ずれ防止用のマットを利用する
・クッションを使ってうつ伏せの状態をキープする
・クッションや車いすを使って立たせる
ちなみに、寝たきりの老犬であっても立つ姿勢をとることは、脳にも体にもよいとされています。立つ姿勢を維持させるための専用クッションもありますが、4輪の車いすや家にあるクッション・毛布でも体を支えて立たせられるので、ぜひ実践してみてください。
定期的な確認
老犬がぐっすり寝ている時でも、定期的な確認を忘れてはいけません。寝たきりの老犬が歩いてどこかに行くことはありませんが、足を動かせる老犬の場合は寝たままでも移動することができます。
また、足を動かしている間に床やベッドで皮膚がこすれてケガをしてしまうこともあるので要注意です。
突然、老犬に異変が起きることもあるので、定期的に確認するようにしましょう。
まとめ:老犬にとっての楽な寝方は飼い主さんが見つけよう
この記事では、老犬にとっての楽な寝方とは何か、注意が必要な3つの寝方や寝たきりの老犬の寝かせ方に関する注意点について解説しました。
最後にもう1度、この記事のポイントをまとめておきます。
・老犬にとっての楽な寝方は犬それぞれ
・要注意な寝方は、横向きで足を開いている(足をのばしている)、祈りのポーズ、座ったまま
・要注意な寝方を発見したときは、動画を撮りながら状態を確認しつつ病院へ
・寝たきりの老犬の場合は、床ずれに注意
老犬の健康を維持するには、快適な睡眠は重要です。この記事を参考にして、老犬がぐっすり寝られるように工夫しましょう。
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